2014年4月23日水曜日

旅行や留学に不便なピル

学期末あるいは卒業を目前にした学生達が、期末テストの合間をぬって、女性健診やピルの処方のために駆け込んできている。これから迎える夏休み、実家でアルバイトします、とか、ニューヨークでインターンするんです、とか、はたまた3ヶ月ヨーッローパで勉強、とかいろいろな計画で目一杯の学生達である。

通常ピルは3ヶ月分処方してリフィル(おかわり)を4回分、つまり1年間は受診しなくてもそのまま続けられるように処方箋をだしているが、長期間にわたって州を超えて、あるいは海外に出向くとなると、いつどの時点でリフィルを得るかがやたら面倒くさい。旅行前に地元の薬局で通常より多くの薬をもらう、ということも手続きを踏めばできるようであるが、保険会社に一手間かけてリクエストしないといけない。

もっとも、国内であれば、処方箋をある薬局から別の薬局に移せるはずなのだが、患者さん曰く保険会社の制約(実際のところは不明)で州外にはトランスファーできなかったとか、メールオーダー(通販専門の薬局)の薬局から実家に届いたピルを自分の滞在先に送ってもらうのに手間取ってピルを切らしてしまったとか、はたまた旅先でピルをごっそりなくしてしまうとか、普段は規則正しくピルを飲んでいる人でも、こういう「事件」とは必ずしも無縁ではいられない。

いつも夜9時にピルを飲んでいる患者さんが、短期留学先のアイルランドではその時間もう真夜中なんです、どうしよう!と真剣に悩んでいる。(本当はアイルランドでも夜9時に飲んだらよろしい。)悩んでもなんとか解決策を見つけて、ピルを飲み続けてくれればよいのだが、混乱と時差と旅の疲れの中で、ピル自体をやめてしまう人も少なくない。

たった1個のピルを飲むのは簡単だが、波瀾万丈の人生の中でも毎日毎日毎日飲み続けるというのはとても大変なことだ。

その点、子宮内避妊具 (Mirena, Skyla, ParaGard) や皮下埋め込み式避妊具 (Implanon, Nexplanon) は3-10年にわたって連続使用できるので、逆にいうと、使い忘れたくても忘れられない。紛失しようにも紛失できない。 短期の旅行にも、長期の留学にも向いている。

これまで以上に、これらLARC (long-acting reversible contraceptive) を避妊の第一選択として勧めよう、と気持ちを新たにする今日このごろである。

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