2014年1月14日火曜日

回復に対する過剰な期待

昨日のつづき。

いわゆる風邪症状で一度受診した患者さんが、翌日か翌々日にお怒りモードで舞い戻ってくることがときどきある。もちろん、症状が著しく悪化していたり、新たな症状が出現していたりしたら、もう一度精査するべきであるので、再受診自体は大歓迎。

ただ、「クリニックを受診して、症状緩和のために勧められた薬を使っていたら、一晩でスッキリ治るはずだ。」、とでも言わんばかりの過剰な期待を持った患者さんは、なかなか手強い。「あさって合唱団のコンサートがあるのに、このままじゃ困る!」とか。

誰だって早く良くなりたいにきまっているし、まして普段元気でどこも痛くもかゆくもない若い患者さんにとっては、たとえ数日の風邪症状でさえ大変な苦痛だとは思う。

しかし、一晩ではなかなかよくならないことだってある。自然で順調な回復過程にも、ある程度の時間が必要だ。

患者さんの苦痛に共感し、可能は治療・対応はおしまず、でも最終的には現実的な回復過程について確認しあう必要がある。残念だけど、どんなにベストを尽くしても、合唱団のコンサートまでに、のどは完全に治らないかもしれない。それは悔しいし、辛い。「魔法の薬がなくてごめんね。」と言うと、そこでやっと患者さんがクスっと笑ってくれることもある。(笑ってくれないときは、最後までずーっと私が患者さんに叱られているみたいである。)

何でもスマートフォンでぱっぱとやってのける世代には、風邪からの現実的な回復過程なんて言われても、気が遠くなるだけかも。でも私たちの体はやっぱり生ものである。

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