2013年11月30日土曜日

子宮脱・直腸脱した羊

今私が滞在しているAさんの実家は、羊農家 兼 トウモロコシ農家である。羊は、羊毛のためではなく、ラム肉の出荷のために飼われている。

今日はたくさんいる羊の中でも、よりによってAさんの甥っ子の一番のお気に入りのTちゃんが子宮脱・直腸脱を起こしてしまった。prolapse (脱) のなかでもよりによって、子宮も直腸も完全に反転してしまっていて、痛々しい。

しかしTちゃんは痛そうなそぶりも見せず、群れのなかにいる。しかも、走る。

獣医の診察を受けさせるため、逃げる Tちゃんを一家総出で捕まえるまでにどのくらい時間がかかったろう。おそらく1時間以上、2時間未満。牧場の斜面を思いっきり駆け回ったので、おかげで私の感謝祭での食べ過ぎもすっかり解消。

ちなみに、Aさんの甥っ子がもし今週末在宅だったら、彼の一声でTちゃんは一発で捕まえられただろうとのことだった。

獣医は硬膜外麻酔と注射でTちゃんを鎮静させ、用手的に子宮と直腸を逆反転させながら体内に戻した。そのあと人の子宮頚管無力症の縫縮術に使うのと同じような糸を使って陰部を縫った。最後にペッサリーのようなものを挿入し、それを体にベルトで止めた。

Aさんの家族は私がちっとも動揺しないのに驚いていたが、人のお産や子宮脱や直腸脱にあたったことのある私は、人と羊に共通することや異なることを、むしろとても興味深く見ていた。

感謝祭の週末にも関わらず、遠くからトラックで駆けつけて、真摯に治療にあたる獣医に頭が下がった。

2013年11月29日金曜日

植えられなかった球根

今日はチューリップの球根を植える予定だったのだが、土が凍って堅すぎて、とても植えるどころではなかった。

Aさんの弟住む家の前の橋を補強する作業を見に行った。見ている私は寒かったが、長靴で水の中に入って作業していた人たちはもっと寒かったに違いない。

うさぎくらいの大きさの、水の中に住む生き物(名前忘れた)が土手に穴を掘って橋や水路決壊の下地を作るらしく、その動物を捕らえるためのワナを仕掛けているのも見た。氷の下に見える泡ぶくを目安にして、その動物の巣に検討を付け、ワナを置く。仕掛けたそばから、一匹早速捕まった。毛皮は売れるらしい。なんでも今年は高値だとか。

いろいろと慣れない光景を見た後、午後はがっつり昼寝してしまった。

2013年11月28日木曜日

感謝祭でみる家族もよう

今朝は7時過ぎに家を出て、ペンシルバニア北東部に住む友達Aさんの家、正確にはまずAさんの祖父母の家(かつては酪農、いまはトウモロコシ農家)に向かった。車で約4時間半。今回幸いなことに雪はパラパラ程度ですんだ。

Aさんの祖父母、両親、おじさんおばさん、兄弟、いとこ、いとこの配偶者、姪っ子甥っ子達が勢揃い。

サラダはおじさん作、メインの七面鳥・マッシュポテト・丸ごと蒸したカリフラワーなどはおばさん作、デザートはAさんのお母さん作。私は Trader Joe's (西海岸系のスーパー)で買ったみかん一箱提供。(かなり好評。)食器洗いはAさんのお母さんと私が抜群のチーム(自画自賛)でやってのけた。

家族それぞれの振る舞いや発言を観察しているととても興味深い。自分も、お正月とかお盆に親戚と過ごしている、やり取りのなかで「カッチーン!」ときたり、他にもイライラしている家族の姿を見たものだが、友達の家にいると自分自身は「当事者」ではないので、まるで映画を見ているように周りの言動が冷静に観察できてしまう。。

ただし、渦中にいる人はまことにリアルに「カッチーン!」なり「イライラ」しているわけなので、気づかれないように、そっと見守る。人生の勉強。

2013年11月27日水曜日

がん検診車への医師の立ち会い

共同通信社が25日に配信したニュースによると、がん検診車に医師がいなくても胸部エックス線撮影ができるよう、医師の立ち会いを求めている診療放射線技師法が改正されることになったそうだ。

これを読んで、今まで医師の立ち会いが必要とされていたということに、むしろ驚いた。

今回の改正は胃や乳房のエックス線撮影は含まれないとのことで、これらは依然医師の立ち会いが必要とされるとのこと。

マンモグラムの検診車も診療放射線技師が独立して携わることができれば、検診車はもとより病院でも、限られたスタッフでより多くの患者さんを診ることができるようになるんじゃないだろうか。技師が多くの一般的な患者さんに携わる一方で、医師は、より複雑で難しい患者さんの担当により集中できるようになるんじゃないだろうか。

放射線科のことは部外者なので、勝手なことは言えない。ただ思うのは、毎日毎日技術を鍛錬している専門家に敵う者はないということ。職種が医師でも、診療放射線技師でも、経験を積んでいるか、日々研鑽しているか、のほうが、職種名よりも実は重要なように思う。

医師だからって、万能ではない。医師ならば安心、というわけでもなかろう。

2013年11月26日火曜日

感謝祭前の帰省ラッシュ

木曜日の感謝祭を前に、早めに年休を取る人もいるので、今日はバスも道路もすいていた。空の便は雪の影響で欠航や遅延が相次ぎ大変そうである。安全第一。

フィラデルフィアとかニューヨークなどの中長距離地域から来ている学生は、大型のチャーターバスで帰る人も多いようで、大きなバスが並んでいる光景はなかなか圧倒された。

2013年11月25日月曜日

膀胱炎の多い一日

スタッフの1人が、「今日はなんだか膀胱炎の患者さんが多い。これはたぶんThanksgiving (感謝祭)の帰省前だからだきっと!」とこぼしていた。

真偽のほどは、天のみぞ知る。

ちなみに、急性膀胱炎は、別に季節的なものではない。健康な女性でも性行為によってわりと簡単にかかってしまうことが多い。したがって、クリニックでは日常的に出会う疾患である。


2013年11月24日日曜日

アパート住人ブランチの会

同じアパートに住む I さんが、アパートの住人で集まってブランチでもしましょう、と声をかけて、全員ではないものの7人が集まった。いつも会ったら挨拶は交わすが、それ以上の話はあまりしたことがなかったので、お互いのことを知る上でとてもよい機会となった。

どこでどんな仕事または勉強をしているか、とか、どんな猫を飼っているか、とか、いろいろと新鮮な情報があったが、

一番の収穫は、いい肉屋さんの情報を得たことである。

2013年11月23日土曜日

友人の出演したオペラ

友達がオペラに出演する、しかもチケットをただであげる、というので、喜び勇んで観に行った。

ソロ5人、またコーラスがそれぞれ充実していてとても感激。ピッツバーグ・オペラが上演するような会場と比べると、舞台も観客席もずっと狭いし、大道具もかなりシンプル。が、そのおかげで観客席から舞台、そして歌い手までの距離がとっても近く、表情も歌声も未直に感じることができ、むしろ大きな会場よりもぜいたくなぐらいだった。

仕事をしながら、こういう舞台のオーディションに果敢に挑戦し、晴れ舞台にたった友人の勇気と自信に満ちた表情に大いに刺激される。

2013年11月22日金曜日

ストレス対策の6週間プログラム修了

自分が入っている健康保険が提供しているストレス対策の6週間プログラムが2ヶ月余かかってやっと修了した。

この間いろいろな宿題に取り組み、ほぼ毎週コーチと電話で話をしてフィードバックをもらい、また次の宿題に取り組んで来た。

コーチとの会話なしにオンラインで自習だけする方法もあったのだが、私の場合はコーチと話すことが動機付けのためにとてもよかった。

今後は、いままでほどじゃないが、日々の記録をつける簡単な表があり、自分の好きなストレス解消法を継続して記録していくことになる。1ヶ月後にコーチからフォローアップの電話が入る。

数々のストレス解消法をやってみた中で、最も自分にとってよかったのは、
運動
感謝の日記
気持ちを表出するために書きまくる
の3つである。

今後もつづけていこう。

プログラム修了のご褒美として、150ドル相当のクレジットがもらえた。どういうことかというと、今後の医療費の自己負担が150ドル分減るということである。わーい。ご褒美があってさらにうれしいわけだが、ご褒美がたとえなくても非常に有意義なプロブラムだった。

2013年11月21日木曜日

歯科健診で太鼓判

長年このブログを読んでくださっている読者はご存知と思うが、私の歯と歯肉はかなりデリケートである。過去には歯肉の自己移植を2回も受けるという災難もあった。

今日は1年ぶりに歯周病専門医のところに行った。(前は少なくとも3−4ヶ月ごとに行かねばならなかったことを思うと、1年ごとでよくなった今はかなり楽である。)

日頃の歯みがきとフロスの甲斐あってあって、歯周ポケットもまずまずで、状態は良好に安定していると太鼓判をもらった。

年に一回のこの受診の他、一般歯科医にも年2回は行かないとならんので、結局はやはり4ヶ月ごとに受診するというペースがこの先も続く。

費用も手間もかかるけど、先手先手で予防を頑張ったほうが、総合的にはやはり楽だと思うので、これからも歯科医を味方につけて頑張りたい。

あったりまえだが、私自身がやらないと、ほかの誰も私の歯や歯肉を守ってくれる人はいない。

2013年11月20日水曜日

階段昇り再開

夕方5時を過ぎるとすっかり暗いし、雪や氷で足元は悪い。

というわけで、今年も屋内の階段を昇り降りするのに絶好の季節となった。

シーズン初日の今日は、36階までの往復1回限りにとどめた。22分くらい。

ひさびさにやると、心臓がかなりバクバクする。が、かなりの達成感。

徐々にペースを上げていって、3往復45分の自己最高記録を塗り替えようと思っている。

2013年11月19日火曜日

職員同士のピア・サポート

これは新しい試みらしいのだが、新たに就職した職員を対象に、ピア・サポート制度がある。リストに掲載されたピアの中から新職員がだれか1人を選び、個人的に会うなり電話するなどの関係を持つことで、大学のコミュニティーによりよく親しめるようにする、というわけだ。

ピアをリストから選ぶ際は、自分の所属部署以外の人を選ばないといけないという条件がある。

ということで私は別部門に所属するLさんにピアとなってもらうことにした。Lさんとは何回かミーティングであったことがあるが、よく知っているというほどでもなく、Lさんの働いている部門のこともよく知らないので、ちょうど良いと思ったわけ。

今朝仕事の前にLさんと朝ごはんを一緒にとった。いわば朝ごはんミーティングである。Lさんは学生時代にもこの大学に通っていたということで、かなりの通である。いろいろ雑学的な情報を教えてもらえて有意義だった。

お互いなかなか楽しかったので、また年明けくらいに2回目の朝ごはんミーティングをしましょうということになった。

2013年11月18日月曜日

迫る感謝祭と期末試験

感謝祭(Thanksgiving)は来週の木曜日。授業や課題に追われ、感謝祭のときに少しはほっとしたいがその翌週の期末試験のことを思うとその暇もない、というような日程とあって、患者さんたちのストレスも普段以上に強まっているように感じる。

ストレス、睡眠不足、また不規則な食生活などがあいまって、体調を崩し、思うように授業に出席できず、慌ててクリニックに駆け込んでくる患者さんも少なくない。

風邪などの体調不良のときにどうセルフケアするかという基礎の基礎を学び直してもらう機会である。残念ながら明日朝までにすべての症状をなくしてくれる魔法の薬はないので。

2013年11月17日日曜日

64歳の友との夕べ

私が現在就いている仕事のことを最初に教えてくれたのは友人のKさんであった。私が過労のなかでもがいているとき、1−2ヶ月ごとにお茶をして、そのたびに励まし続けてくれた。そのKさんとひさびさに会い、これまでの3ヶ月の経過を報告することができた。

約1年前の自分はKさんと話しながら何度も泣いていたが、今は笑顔で近況を話すことができ、胸がいっぱいになった。

KさんはNPとしてパートタイムの仕事をしながら、新たに洋裁を習い始めたり、Food Bank でボランティアをしたり、はたまた5kmレースで年齢別カテゴリーで1位を取ったり、とても活動的である。

Kさんと私は人生の段階の異なる段階にいるけれども、それでも似たような経験をしていたり、お互いにおおお!と思うことがあって、どれだけ話しても飽きない。学ぶことも多い。

2013年11月16日土曜日

健康保険に関するお話

ピッツバーグ近辺に住んでいる日本人向けに米国の健康保険制度や最新事情について話す機会があった。なんと隣の州からも聞きに来てくださった方があった。

いざというときの備えという意味で健康保険は大事だが、今回いちばん私が強調したかったのは、健康維持と健康増進のために保険をどんどん活用しようという点である。システム・制度にいろいろ問題があろうとも、得られる予防・健診サービスの利点を活用し、病気になるべくならないで元気で過ごせることに力をいれるというわけである。

私は医療制度や政策に関する専門家では全くない。まして保険医療制度改革の大嵐が吹き荒れる昨今のこと、臨床的なテーマでしゃべるのと比べると、準備がはるかに大変だった。昨夜もいくつかスライドを足したりしてて、通しの練習は1回しかできず。

通常だと、会場の雰囲気をほぐす意味で最初に参加者に簡単な自己紹介を促したり、途中で「ここまでで何か質問はありますかー?」と尋ねたりして、なるべく参加型になるようにしている。今回はそういった余裕もなし。

それでも、参加者からはおおむね好意的なコメントを頂戴し、またスタッフからもよいフィードバックがもらえたので、挑戦してみてよかったなーと思っている。

無事終わって、ほっとして、自分でごほうびに靴を買った。(まったく関連はないけど、終わったら買おうと決めていた。)

2013年11月15日金曜日

目に砂

通学時に目に砂か何かが飛び込んできたので、心配で来たという患者さん。クリニックに着く頃には、その異物は自然に涙で流れたらしく、今は何の痛みも違和感もないという。患者さん自身はいたって平気なんだが、母親が心配するので来た、と。

目を診察したところ、何も異常はない。「大丈夫そうよ。」というと、「やっぱり思った通り!」、と言って笑顔で帰って行った。

学校内のクリニックならではの診察内容だろう。クリニックやカウンセリングの利用に関しては、学生は学期ごとに一定のお金を払っているので、毎度毎度の受診時の自己負担がない。(現在のところ)

私としては、目に砂が入ったというくらいで母親にすぐ電話する患者さん、また娘にすぐ受診を勧めたお母さんのことが、ちと心配である。

2013年11月14日木曜日

保険医療制度改革、マーケットプレイスの説明会

自分の住む地域で、地元住民を対象にした保険医療制度改革(いわゆるオバマケア)の説明会が夕方あり、参加して来た。

雇用先を通した健康保険にも、メディケア・メディケイドといった公的健康保険にも入れずに無保険である場合、この10月から新たに創設された マーケットプレイスと呼ばれる比較検討ウェブサイトを通し、保険加入の手続きや保険料の減免措置を受けることができるようになった。

メディアではこの件に関連し、ウェブサイトが予定通りに機能していないという問題など、毎日のように何らかの報道がある。

今回話をしてくれたのは、住民の加入手続きを支援したり、地元各地で開かれている説明会で住民に話をしたりすることを生業としている、Health Care Navigator という立場の人であった。

個々人の住民を直接サポートしている人だけあって、話し振りも、内容も非常に分かりやすかった。

自分は医療職についているとはいえ、保健医療制度改革や最新情報をちゃんと理解しているかというと、恥ずかしながら決してそうではない。今日は、通常私が見ている一般むけのニュースや、Medscapeなどの医療者向けメディアとはまた違った立場からの人の話が聞けて、また他の参加者の生々しい質疑応答も聞けて、とても勉強になった。

2013年11月13日水曜日

秋の太極拳クラス終了

先週末に8回シリーズの太極拳教室が終わってしまった。

氷の上を歩く型(?)から初めて、5種類習ったが、5つ目はほとんど身に付いていないので、自分が家で再現できるのは4つである。

とまとまんに Skype  や FaceTime で上達を披露したが、パソコンのカメラだと全身を映すのが難しく、盆踊りをしているようにしか見えないとのことである。(涙)

家で1人で練習するというのが難しい。ヨガみたいに、近くで他の人とやれる機会が見つけられるといいのだが。

2013年11月12日火曜日

初めてのステロイド剤内服

昨日の夜から急激に顔に派手な発疹が出て、今朝はもう痒いは、むくんでいるはで、とても惨めな顔つきだった。

かかりつけ医に朝一に行ったが、診察可能なのは午後1時半になると言われ、urgent care つまり予約なしでかかれるタイプの診療所に行って、空く前から並んで一番に見てもらった。

原因は不明だが、とにかく何らかの接触性皮膚炎。しいていえば日曜日に桜に柵を付けたときが怪しいか。

メチルプレドニゾロン(ステロイド剤の一つ)のドースパックを初めて飲むことになった。初日は6錠、2日目5錠、3日目4錠、、、、最後6日目は1錠をそれぞれ特定のタイミングで飲む。

処方したことがあっても自分で飲んだことはないという薬はたくさんあって、これも今回が初体験である。早速よく効いてくれてて何よりであるが、耳たぶとかあごの辺りの痒みが強いので、ステロイド塗布薬も欠かせない。

自分の受診のため午前は遅れて仕事に行ったが、午後には赤い顔ながら患者さんの診察ができたのでよかった。

2013年11月11日月曜日

ランチルームで聞く人生

昼休み、自分のオフィス(もう1人の人との2人部屋)で食べるよりは、なるべくランチルームに移動して食べるようにしている。パソコン画面や仕事道具から物理的に離れて休憩するというのが、自分にはとても大事だから。

ランチルームと言っても、机、椅子、電子レンジ、コーヒーメーカー、冷蔵庫が備えられた程度の狭い部屋で、そこで他のスタッフと和気あいあいと食べる。弁当派が多いが、近くの店でテイクアウトしてくる人もいる。

そこでいろんな人のいろんな人生の話が展開される。

私は体は大きくないが、体に見合わぬ割と多い量の弁当をよ〜く噛んで噛んで食べるので、あまり悠長におしゃべりしている余裕がない。だから、大概はもっぱら聞き役である。

夏に日本に帰ったとき、恩師の一人が、「悩みのない人はいない。悩みのない人生はない。」と言っていたのを思い出す。みんな悩みの内容は少しずつ違うけれど、いろんなことを考え、そのときそのときのベストを尽くしていっているプロセスは一緒だなぁ、と思う。

2013年11月10日日曜日

桜の皮を食べる鹿の対策

先週末はピッツバーグさくらプロジェクトの植樹会だったというのに、すっかり忘れて参加し損ねた。聞くところによると、70人くらいの参加があり、かなり盛況だったらしい。

今日は鹿よけの補強ネットをつけるのに人手がいる、ということで手伝いに行った。

鹿が桜の皮を剥いで食べてしまうと木が死んでしまうので、従来から幹にネットを付けていた。しかしそのネットの上からも鹿が果敢に皮をはいでしまったり、また木そのものの成長によってネットがはち切れてしまったり、という事態が起きていたそうである。

今回使用したのは、ネットというより金属製の「柵」という感じのかなり頑丈な作りのもので、4人で作業した。さらに2人が水やりに来ていた。

作業しているそばから、鹿の親子連れが何回か脇を通った。見かけはかわいらしいが、桜には敵である。

寒かったがやりがいのある仕事でよかった。世話人さんがおにぎりを振る舞ってくれて、おいしく食べた。

2013年11月7日木曜日

インフルエンザ予防接種を勧めたときの反応

この時期、私が患者さんにインフルエンザ予防接種を勧めると

「もう受けました。」
「あ、ぜひ受けたいです。」  

というさっぱり素直な反応がある一方、

「私はこのかた一回もインフルエンザ予防接種を受けたことはないし、インフルエンザにかかったこともないです。」

という感じの答えが結構多い。予防接種に否定的な保護者に育てられた患者さんの場合、特に誇らしげな余裕(?)すら感じられる。

ここでいかにひるまずに、積極的かつサポーティブに予防接種を受けることのメリットと受けないことのデメリットを語れるか、カウンセリング力が試される。

2013年11月6日水曜日

言葉がわからないもどかしさ

スペイン語 の先生の顔ぶれがガラリと変わった。授業がどんどんスペイン語で進んで行くが、私ひとり「すんませーん。わかりません。」(一応スペイン語でこれは言える)と言ってみんなの足を引っ張っている。

私の右隣は高校生、左隣は60歳代くらいのおじさん。みんなありたけの知識を総動員して頑張っている。

すでに知っていることは分かるが、知らないことは分からないーー何歳でもこれは平等である。

聞き取れないことで起こる不安と話せないもどかしさのなかでもたまに、「あ、それ知ってる! 前覚えたぞ!」という場面にも遭遇して、少しだけ名誉挽回する。

翻って、
母国語が英語でない患者さんが、英語で体調のことを私に話してくれたり、逆に私の話していることを一生懸命理解しようとしたりしているときの苦労を思うと、そのガッツに頭が下がる。

2013年11月5日火曜日

暮れた空を見ての発言

日曜からいわゆる冬時間になった。朝は明るくなったが、その分日が暮れるのが早い。

17時をちょっと回ったころ、スタッフの一人が窓に目をやり、「あー真っ暗!最悪!」と言った。

それを聞いてふと私は思った。自分も1年前だったら、同じことを言っていたかもしれない。確かに暗いけど、まだ真っ暗じゃない。きれいな紺色。暗いのは残念だけど、『最悪』とラベリングするほどのことでもない。

感謝の日記とか、meditation とか、ヘルスコーチからの数々の宿題をやってきた効果か。mindfullness が少し実践できてきているかも、と思った次第。

2013年11月4日月曜日

ぎんなん

銀杏がたくさん道に落ちている。だーれも拾っている気配がない。日本にいる両親はよく地元の神社や公園で銀杏拾いをしている。それを思い出し、ビニールの手袋をはめて「ちょっと」拾ってみた。通りがかりの人に「それ拾ってどないするん?」と聞かれた。

もちろん「食べます。」

実は拾うのは一番簡単で、その後の洗ったり乾かしたりする作業の方がずっと大変だった。両親に対する尊敬の念が深まった。

ヒビが入ったりつぶれてしまったものを除いて、食べられる状態のものが計677個あった。もちろん友達に配った。一人では食べきれん。

さっそく電子レンジで調理(?)して食べてみた。実にきれいな黄緑色。味もよい。

2013年11月3日日曜日

気持ちを書き出すこと

昨日のつづき。

感謝の日記とともに、「書く」宿題として expressive writing というのがある。気持ちを表現する作文とでも言ったらいいか。手順としてはテキストに次のように書いてある。(抜粋する。)

  • 邪魔されない静かな場所に、紙とペンを持って行く。
  • 気がかりなことはなんだろうと思い浮かべて、思い浮かんだことを書くテーマにする。
  • 15分ぶっとうしで書く。何も書くことがなくなったら、もうすでに書いたことをまた繰り返して書く。文法とか、スペリングとか、文の構成とかは何も考えない。
  • 書いている間、すでに書いたことを読まない。
  • 書き終わったら、破って捨てる。


私にとって一番大変なのは、15分の時間を確保するというところ。お風呂上がりにだいたいやるのだが、書いているうちに頭がかくーんとしてきて、15分起きていられないこともしばしば。

見開きのノートの左半分に書きながら、同時に右のページに感謝の日記を書く、ということもやってみた。書いている途中で感謝すべきことがまた浮かんだりするから。

自分なりのスタイル確立までにはまだ試行錯誤かな。

2013年11月2日土曜日

感謝の日記

ヘルスコーチ(10/16のブログを参照 http://koimokko.blogspot.com/2013/10/blog-post_16.html )からの宿題の一つに、感謝の日記 (gratitude journal)を書くというのがある。

このブログを除くと、日記というものとはしばらく縁がなかったが、宿題なのでやらないといかん、というわけでしぶしぶ始めた。

すると意外とこれがよい。なにせ感謝の日記なので、何を書くにも「〇〇ということが嬉しかった」とか「〇〇がよかった」とか「〇〇という事実に感謝だ」などというスタイルに落ち着く。

しくじったことや、悲しかったことも、ひとひねりすると感謝の日記に書けることに変身する。例えば、簡単な例でいうと、「今朝はバスにあとちょっとのところで乗り遅れた。でも別に遅刻もせず無事についたので、よかった。混んでるバスに無理矢理乗るより、座れたんだからむしろラッキーだった。」とか。

何日かこれをやっていると、日記を書いているときだけでなく、今目の前で起きている現象についても、その場で感謝すべきこととして認識する(もしくはひとひねりして感謝すべきことに変換しなおす)ことができる場面が少しでてきた。

宿題だからと仕方なーく始めたのであるが、思わぬ効能にびっくり。

2013年11月1日金曜日

出産時の瘻孔をとりあげた映画

しばらく前のことになるが、分娩時の損傷による瘻孔(ろうこう、つまり穴)、obstetric fistulaを取り上げた映画、『A Walk to Beautiful』のDVDを観た。 http://www.walktobeautiful.com

映画の舞台はエチオピア。小柄な体にして早いと10代半ばにして妊娠した女性たちがいざ出産を迎えたとき、赤ちゃんの頭が膣に何十時間、ときに何日も停滞するような難産に陥ってしまうことがある。膣の壁が赤ちゃんの頭に圧迫され続けた結果、壁の一部が破壊されて膀胱あるいは直腸とつながる「穴」ができてしまう。これが産科瘻孔。

赤ちゃんの頭の回旋異常とか、分娩遷延(時間のかかりすぎている分娩)などの理由で帝王切開ができれば避けられる障害だけれど、エチオピアに限らず医療設備のない環境で出産を迎える女性の多い地域では、残念ながら今も珍しくないようだ。

この瘻孔を通して、膀胱からは尿が、直腸からは便が勝手に膣に流れ込んでしまうため、生活に支障をきたす。加えて、便尿のにおいや性生活の不便さなどから、パートナーや家族から追放されて社会的にも精神的にも参っている女性たちの姿を映画の中で見た。

希望は、外科的な手術や膀胱機能の訓練などで、回復の余地がおおいにあるということ。田舎の村から徒歩とバスで何時間もかけて病院(産科瘻孔を専門に扱う The Fistula Hospital が首都アディスアベバにある)に行き、そこで治療を受けてはちきれんばかりの笑顔で帰って行く女性たちの姿はとても輝いていた。

The Fistula Hospital で献身的に働いている医療者たちに頭が下がる。将来的には、願わくば、産科瘻孔にいたらなくて済むような一次予防(たとえば栄養状態の改善、若年妊娠の予防、医療アクセスの整備、異常分娩時に帝王切開ができる環境の整備など)をするのが一番だと思うのだけど、限られた医療資源や交通の便を考えると、理想ばかり言っていられない厳しい現実がある。