2012年11月27日火曜日

経口避妊薬をOTC化すべしという勧告

米国産科医婦人会学会(ACOG)は、先週、経口避妊薬をOTC (処方箋なしで購入できる薬)にすべしとする勧告を出した。OTC とは over the counter の略。

http://www.acog.org/Resources_And_Publications/Committee_Opinions/Committee_on_Gynecologic_Practice/Over-the-Counter_Access_to_Oral_Contraceptives

勧告の趣旨を簡単にまとめるとこんな感じ。
「アメリカにおいて全妊娠の約半数が意図しない妊娠である。アクセスとコストの問題が
避妊薬を使う上での大きな妨げになっている。経口避妊薬はアメリカで一番広く使われている避妊薬だが、それを根気よく使い続けて行くには実際面でいろいろと問題がある。そこで避妊薬をもっと使いやすくし、ひいては意図しない妊娠を防ぐために、経口避妊薬をOTC化しよう、というわけだ。リスクとベネフィットを比べると、経口避妊薬はOTC として手に入るものであるべきだ。」

安全性について勧告は「OTC薬というと安全性が問題となってくるが、経口避妊薬による深部静脈血栓症の率は非常に小さい。妊娠中や産褥期の深部静脈血栓症の率と比べるとなおさらそう。」と述べている。

経口避妊薬の禁忌(使ってはいけない状況)の心配に関しては、「研究結果によると、一般女性が自己判断した禁忌は医療者よりもむしろ保守的(慎重)なくらいだった」と説明し、また「メキシコの研究では、薬局で経口避妊薬を手にした女性においては、絶対的な禁忌よりもむしろ相対的な禁忌が見られた。」としている。「チェックリストを使って、女性自身が禁忌がないかどうか自分で確認するようにすべき」と助言している。

CNN は今回の勧告に関連した記事のなかで、経口避妊薬を手に入れるために処方箋がいる国、いらない国を色で塗り分けた興味深い地図を載せている。
http://edition.cnn.com/2012/11/20/health/birth-control-over-the-counter/index.html?hpt=he_c2

勧告を読んで思ったこと:

  • アクセスとコストの問題をできるかぎりなくし、経口避妊薬を手に入りやすいものにすべし、という今回の勧告の趣旨には基本的に賛成。
  • 実際OTCになるまでには、製薬会社がFDA(食品医薬品局) に認可を申請し、それが認められないといけない。だからACOGが旗を振っただけではすぐ現実になるわけじゃない。
  • OTCにしたからといって、コストが安くなるのかは疑問。製薬会社のコマーシャル合戦がおきたりするかも??
  • 今回の勧告が、避妊薬のなかでも「経口避妊薬」に限って述べていて、これにはNuvaring やPatch が入らないのはなぜだろうかとおもった。
  • 勧告のなかでも述べられているように、STI 検査や子宮頸がん検査は避妊薬の使用に関して医学的に必要なものではないが、健診がおろそかにならないように、教育はますます必要となろう。
  • まず第一段階として、Combined pill (エストロジェンとプロジェスティンの合剤ピル)よりも、progestin-only pill をOTC にするのを目指すのが現実的かも。すでに、緊急避妊薬(これもprogestin-only)はすでにOTC.



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