2012年5月29日火曜日

ER受診の悪用(?)例

ER(救急外来、緊急救命室)は、医療資源とスタッフを常備し、24時間365日いつでも対応してくれる貴重な場所だ。それこそ命に関わる重傷・重病者から、軽症の人まで幅広く診てくれる。

ER受診時の Co-pay (何はなくとも窓口で必ず払う自己負担金)は通常の受診時よりもかなり高い。健康保険があってもそんな具合なので、当然保険のない人は、全額自己負担になる分なおさら費用負担が重くのしかかる。なので、「緊急だ」「重症だ」という状況でないかぎり、通常は受診抑制がかかる(はず)。

一方、医療扶助を受けている患者さんは、ER受診も含めて医療費がただ。それで、ERを湯水のように(?)気楽に使ってしまう人もいる。


メディカルアシスタントのA さんが嘆く。

「今電話してしてきてた患者さん、『避妊薬がほしいので明日の予約を』といいよったんやけど、あいにく明日は満杯で無理ですと説明したら、『それならいいです。』って言って電話を切りはってん。でもその切り際に『ERに行くしかないな。』とそばにいた誰かに言っているのが聞こえてしもた。この患者さん、予約ほったらかし(予約していたけど現れず)歴が過去に5回もあって、それでいて、いよいよ行きたいとなったら、『明日じゃなきゃあかん』とか、ERに行くなんて、ほんまどうかしてるわ!!!」

避妊薬でも緊急避妊薬のためであるのなら、話は別。でも今回は日常的に使う避妊薬が目的なので、Aさんが嘆くのも無理ない。

似たパターンとしては、軽度の細菌性膣炎とか、カンジダ膣症の症状でER を受診するケース。私はERで働いたことはないが、患者さんの話を聞いていると少し様子を垣間みる。「2週間前にERで細菌性膣炎の薬をもらったんだけど、また昨日から症状がぶりかえしちゃってさー。」など。(こういう方はERも含めて複数の診療所を頻繁にハシゴしていたりする。)患者さんにとっては「私にとっちゃこれは緊急以外の何ものでもない!」ということなのかもしれんが、ゆがんだ医療システムの一幕という感じが否めない。

患者さんのモラルもモラルだが、タダかつ予約なしで見てもらえるシステムがある以上、人はそっちに流れてしまうというのが悲しい現実。アメリカの医療費が高くなる理由がここにもあり。

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