2011年2月28日月曜日

パワーポイントと文章の違い

昨年ピッツバーグ域に住んでいる日本人を対象に、子宮頸がん予防について話をする機会をもらった。当日来れなかった人にもそのときの内容の要点を伝えるべく、当日の要点をWord文書に仕立てなおしてほしい、というリクエストをもらった。

PowerPointで作ったスライドには、極力文章を避けて短い箇条書きを心がけ、視覚に訴える図や写真をたくさん入れていた。なので、今回 Word形式にするとなると、けっこう厄介だ、と気が重かった。スライド見たらしゃべれるけど、それを文章に起こすのはめんどーだな、と。

気が乗らないのでなかなかやらなかったのだが、ふと、以前にアトランタの日本人向けに、子宮頸がんについて似たような文章を書いていたのを思い出した。自分の昔書いた文章に助けられた。ほっ。ネタを少しずつ増やしていこう。

2011年2月27日日曜日

12℃の暖かさ

今日はむちゃくちゃ暖かくなり、なんと53°F(12℃)まで気温が上がった。友達と昼ごはんを食べて、Schenley Parkを歩いた。コートも手袋もいらない暖かさ!!! 実はこの公園の全体像をまだ知らなかった(今日も全部は制覇してない)ので、いろいろ発見があった。このスケートリンクもそのひとつ。自分たちはやらなかったけど、眺めるだけでもおもしろかった。

こちらはダウンタウンのいい眺め。風にうまく乗ったら、とまとまんのところにすーっと飛んでいけるんじゃないかという気分にさせる斜面だった。地面は雪解けのあとでぐじょぐじょしてたけど。
さあ今週もがんばろう。みなさんも素敵な一週間を!

2011年2月26日土曜日

中高年女性のトリコモナス膣炎

最近40-50歳代女性患者さんの間でトリコモナス膣炎の患者さんを結構みる。すでに閉経を迎えていたり、過去に子宮全摘出術を受けていて妊娠の危険がないがために、新たなパートナーとセックスする場面を迎えても「コンドームを使わなきゃ。」という発想にならなかった、という声がしばしば聞かれる。また、相手はぜんぜん知らない人ではなくて、長年よく知っている人だから、ま・さ・か・性感染症なんて考えられない!!といわれることもよくある。

ウイルスもクラミジアもトリコモナスも、人を選んではくれない。コンタクトがあれば感染する。避妊対策は終わっても、性感染症対策は死ぬまでずっと忘れちゃいけない。性感染症は「若い人の病気」だけではない。

ハーフマラソン締め切られる

5月にあるピッツバーグ・ハーフマラソンへの申しこむかどうか、もたもたと悩んでいる間に、早くも定員に達して申し込みが締め切られてしまった。フルマラソンはまだ少し枠が残っているらしい。うーむ。フルマラソンにするか、それともその辺の10km マラソンに申し込むか、また悩む。

2011年2月23日水曜日

Title X funding の危機

連邦政府予算カット!カット!の勢いのなかで、女性の健康を大いに害する可能性のある法案が下院で通ってしまった。上院での法案成立をはばむには、多くの人の声が必要だ。

HR1というその法案は、家族計画をサポートするTitle X (タイトル・テンと読む)という予算を大幅カットし、とりわけPlanned Parenthood への助成金をすべて絶つ。PPは国内のいたるところにあり、避妊カウンセリングや性感染症対策をはじめ女性の健康および sexual health に大きな役割を果たしている。健康保険がなくかつ医療扶助も受けられないラインにいる低所得の女性(一部男性も)がPPでケアを受けられるのは、ひとつにはTitle X の予算があるおかげである。PPにいけば性感染症の検査をしてもらえる、避妊の相談ができる、いわば町の保健室的な存在なのだ。避妊・性感染症に限らず、子宮頸がん検査を含む年に1回の女性検診など、より広い意味での女性の健康の拠点でもある。

私の勤めている組織はPPではないが、Title X 予算の対象組織になっている。なので、この法案がほんとに成立したら、一部の患者さんにとって大打撃だ。

上院での法案成立を許すな!!、とインターネットでの署名や国会議員へのメール・電話などの地道な作業が続けられている。ピッツバーグ市内でも、今日抗議の集会が開かれたとのこと。

アメリカ国内におられる読者のみなさん、ぜひ地元の国会議員に電話してください。電話が無理でも、こちらからぜひ署名をお願いします。
https://secure2.convio.net/npwf/site/Advocacy?cmd=display&page=UserAction&id=537
http://www.post-gazette.com/pg/11054/1127412-100.stm

この法律の背景には、人工妊娠中絶反対派と擁護派のバトルがある。ぬかりない避妊カウンセリングなければ今日か明日にでも望まない妊娠をしてしまう可能性のある女性と日々接している私からすれば、中絶反対の人こそ、望まない妊娠を防ぐための活動をもっと支援してくれていいくらいで、予算カットしている場合でないと思う。この法律の成立で、例えばPPに行けなくなった女性たちが妊娠したら、むしろ中絶希望者は増えるのでないだろうか。

禁欲を勧めること、セックスを遅らせるように勧めることは大事だと思う。でも望まない妊娠を避けるための手段・環境を断ち切るのはやめてほしい。アメリカ人の平均初交年齢は17歳だ。この現実に沿った対策をおろそかにしてはいけないと思う。
http://www.guttmacher.org/pubs/FB-ATSRH.html

2011年2月22日火曜日

笑いヨガ

Laughter Yoga、日本語ではそのまま笑いヨガ。

エモリーにいたとき Whinship Cancer Institute の患者資料室で Laughter Yoga の会があることを知った。参加したいと思ったが何かがあって行けなかった。先日毎日新聞が笑いヨガについてについて書いているのをたまたま発見。http://mainichi.jp/life/health/news/20110215ddm013100016000c.htmlこれを読んだことがきっかけで、近くのグループに参加してきた。

私、ヨガというから、運動できる格好で、手には水ボトルを持って行ったけど、他の人はみな普段着だったもんで、ちょっと場違いな感じ。参加していたのは30-70代くらいの男性4人、女性8人。会場は教会内の小さめの部屋で、椅子やソファーが円に並んでいる。参加者は必ずしも教会のメンバーではないようす。

リーダーの指示に従って、いろんな笑いをつぎつぎと45分間くらいやった。「アロハー、ハッハッハ」といいながら握手して回ったり、笑っちゃいけない場所で笑いをこらえながら声を出さずに笑う様子を真似したり、ほくそ笑んでみたり、ジェットコースターに乗りながら笑うまねをしたり。面白いところでは、リスのおっぱいをしぼって、それをミルクシェークにして、それをおいしく飲む真似というのもあった。 

最初はかなり無理して笑っていたけど、他の人の笑い姿につられて、だんだん自然に笑いがこみ上げてきた。他の人が心から笑っているのか、演技で笑っているのか、私が知るよしもない。とにかくあんまり楽しそうに笑っているので、その笑いを見ただけでも笑えてくる。リーダーはお互いに目を見ながら笑うのが大事だよ、と言っていた。最後にリーダーは、「笑いはタダだけど、電気代はタダじゃないので、そこのかごにみなさん1ドルよろしくね。」といい、皆はいよー、っと1ドルをかごに入れて立ち去った。

リラックス効果はあなどれないと思った。また行ってみたい。

日本では日本笑いヨガ協会というのがあるようだ。
http://waraiyoga.org/

2011年2月21日月曜日

NP認定維持のためのアセスメント

NPとして働くためには、州のNP免許を得る必要がある。州免許を取るにあたっては、NPプログラムのある大学院を卒業しただけではたいがいダメで、NPの認定試験に合格しておかないといけない。NPの認定試験は分野によって管轄機関が異なる。例えば Women's Health NP や Neotatal (新生児) NPの場合は、National Certification Corporation (NCC)の試験を受ける。

で、この試験に一度受かればそれでよいかというと、そうはいかない。NCCの場合、3年ごとに認定を更新する。この際、単にお金を払うだけでなく、必要な継続教育45時間を履修したことを継続教育の証明書でもって報告しないといけない。継続教育は、カンファレンスへの参加、オンラインプログラム、専門誌のおまけについている読み物など、いろんな媒体のものを自分で選んでよい。それらに参加するたび、履修証明書を保存しておく。

はい、ここまでは前置き。

このたびNCCは、誰にもおなじ45時間分の継続教育を求めるのではなく、それぞれのNPの出来不出来によって継続教育の時間を増減するスタイルに変えた。まずNPは Continuing Competency assessments という125問(2時間15分)の試験を受ける。そうすると、次に示すようなcore competency area 別にスコアがつく。

Normal Physiology and Management
Pathophysiology
Pharmacology
Physical Assessment and Diagnostic Tools
Professional Practice

これらの分野別につけられたスコアによって、その分野の継続教育が免除されたり、逆にたくさんの勉強時間が課されたりすることになる。仮に全分野でのスコアがよくて、その分野の継続教育が免除されても、15時間はもれなく継続教育が課される。

この制度への移行にあたって、今Continuing Competency assessments のお試しが受けられるので受けてみた。今回はとにかく受ければよろしい、というもので、一応スコアや必要時間数は示されるけど、それが提出する継続教育時間数には反映されない。

私のスコアは上記5分野のうち2分野で継続教育免除になったが、残り3分野はスコアが足りなくて勉強時間が割り当てられた。

残念なのは、今回のテスト125問中、どの問題ができてどこを間違っていたのかは教えてくれないことだ。どんな問題が出ていたのかも、今となっては見ることができない。だから自分が覚えている問題しか復習できなかった。

NCCのこの制度について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
http://www.nccwebsite.org/ContinuingCompetency/List.aspx

2011年2月17日木曜日

来し方行く末 その5 いろんな生き方

私の周りにはいろんな生き方を見せてくれている友達がたくさんいる。結婚してハッピーな人、そうでない人、パートナーと別れて悲しんでいる人、むしろ離婚して気持ちがふっきれた人、パートナー募集中の人、同性愛の人、仕事している人(その働き方もさまざま)、仕事したくない人・したい人、勉強している人、育児に励む人、養子を迎えることを考えている人、遠距離夫婦の大先輩、まだまだリストはつづく。

いろんな人のいろんな生き方に触れると、いろいろでいいんだ、いろいろで当たり前だ、と思ってちょっとほっとする。それから結婚や同居や子どもの有無が幸せの条件ではないという当たり前のことを思い出す。同じような状況にあっても、同じようにハッピーとは限らない。

ある友達は「他人はいろいろ言うけど、結局のところあなたの幸せの責任を他人がとってくれるわけじゃないよ。言われたとおりにしたからって、あるいはしなかったからって、幸せになるわけじゃないよ。」と言った。これにはなーるほど、と思った。

かつてエモリーのDeanにもらったアドバイスも思い出す。
http://blogs.yahoo.co.jp/koimokko/MYBLOG/yblog.html?fid=0&m=lc&sk=0&sv=Dean

Deanには The Serenity Prayer というものも教えてもらった。その後これはかなり有名な文章だということを知った。私なりの意訳だとこうなる。

神さま、自分の力でどうにも変えられない事柄を私が受け入れることができますように、自分次第で変えることができる部分で私ががんばることができますように、そして自分が変えうることとそうでないことを私が見極めることができますようにしてください。

こちらにもう少しこの祈りについての解説が載っている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%81%AE%E7%A5%88%E3%82%8A

2011年2月16日水曜日

来し方行く末 その4 さてこれから


遠距離歴がますます長くなるにつれ、またよーく考えないといけないときが来た。"現状維持" の状態を続けるには長くなってきたということ。

しかし言うは易しで、とまとまんと自分にとっての happy medium のラインがどこにあるのか、まだ分かりかねている。

私さえ日本に帰ればすべてぱぁーっとバラ色、というほど簡単な話ではないし、とまとまんがアメリカに来さえすればいいわけでもない。

お互い自分の仕事に誇りを持ち、目標志向でやってきた。相手のやりたいことを応援し、自分のやりたいことも大事にしてもらってきた。よくとまとまんのことを「理解あるご主人ですね。」と表現する人があるが、ほんとのところは理解とか、許すとかいうレベル以上のもので、敢えて言うなら、一方通行ではない、双方向のrespectだと思っている。もっとも、さみしいのもお互い様である。

さてわれらの道はどう開けるか???

2011年2月15日火曜日

来し方行く末 その3 就職

写真:アトランタからペンシルバニアの某町に引っ越したとき。2日かけて運転した。

とまとまんの一言以降、進路についてもやもやとしていた私の気持ちは晴れ、次なる目標へと力を注いだ。そこからペンシルバニアに職が決まるまでにはWHNPの試験、ジョージア州の免許を取る作業、あたって砕けての就職活動、車の免許の獲得、車の購入、ペンシルバニア州の免許に書き換える作業(またもやTOEFLやCGFNSとの格闘含む)、州を越えての引越しなどもろもろのドラマがあった。卒業してからペンシルバニアでフルタイムの仕事が決まるまで、アトランタのクリニックでボランティアをしたのは今につながる貴重な経験だった。

昨日の記事で「小芋、あんたはこの国のどこでも働けるで。」と言ってくれた先生の話を出したが、当然のことながらどこででも働けるわけはない。新卒でしかもWHNPの領域だけにしぼっての就職活動は、アメリカ人ですら大変なのだから、まして外国人の私が苦労しないわけがなかったのだ。本当に幸いなことに、いろんな人に助けられて乗り越えることができた。数々の試行錯誤と失敗が、今振り返ると実はその後のためのトレーニングになっていたように思う。

ペンシルバニアに来てからも、日々の波乱万丈のなか、新旧の人との出会いの中で今も生き延びている。ブログを読んでくださっている皆さんには改めて説明するまでもあるまい。

2011年2月14日月曜日

来し方行く末 その2 OPTという道

Optional Practical Training という機会を利用して学生ビザのままで就業できるオプションがあることは知っていたけど、自分には関係ないものという認識で選択肢には入れてなかった。でも留学生センターのカウンセラーの口からその話をたままた聞き、どんなもんか話だけ聞いてみるのはいいかも、と説明会に出向いた。

そんな過程のなかで、とまとまんは「そういえばOPTの話がでてこーへんけど、ええの?」というようなことを言った。「自分だったらやると思う。一旦日本に帰ったら、こういう機会はもう二度とないで。」

そういわれて私は最初言葉を失った。「???もうさびしくないん? もうすぐまた一緒に住めるって言っていたのに。」とむしろショックだった。でも次第にとまとまんの言ったことはそのとおりだと思うようにいたった。

自分にはありえない選択肢として当初は想定にも入れていなかったOPT。でもとまとまんが「自分ならやる」と言ったのを聞いたら、自分もほんとうはやりたい気持ちが心の隅にあったのを発見した気がした。もう十分さみしい思いをいっぱいしてきていたけど、卒業後一緒にまた住める日を楽しみにしていたけど、このチャンスを大事にしてまた頑張ってみようと思った。
こちら、その当時のブログhttp://blogs.yahoo.co.jp/koimokko/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=opt&sk=1

アメリカでの勤務歴があるわけでもなく、不安を数え上げればきりがなかった。そんなとき、先生の1人に「小芋、あんたはこの国のどこでも働けるで。あんたに出会う患者さんはあんたと出会えて感謝するで。」とまっすぐ目をみて言われた。(ほんとうは文字通り「どこでも」働けるわけではないのだけど。)このとき背中に走ったわくわく感+新たな世界への恐怖感みたいな感覚がわすれられない。これはちょうど2008年6月、ジョージア州南部の農村に実習に行っていたときの出来事だった。夕方からの診察にむけて準備していたときの写真。

2011年2月13日日曜日

来し方行く末 その1 留学まで

最近いろんなことを考えていて、たぶん考えすぎでブログの記事を書くになかなか至らない。でも記録を残さないともったいないかもしれない、とふと思った。すこしだけ書いてみようと書き出してみたら、案外長くなった。ちょっとずつアップロードする。写真: 2007年8月。エモリー大学大学院に入学すべく、アトランタに飛び立つ前夜、成田空港近くのホテルで1人前泊。スーツケース2個とベッドの上に置いてあるバックパックの計3つで飛んだ。

<留学まで>
あと3ヶ月弱で結婚してから5年になる。うち一緒に暮らしたのは1年3ヶ月あまりで、残りは遠距離である。もっとも、結婚前4年間も日本国内とはいえ遠距離だったので、総遠距離歴はそうとう長くなってきた。

数あるWHNPプログラムの中でエモリーを選んだのには、プログラムの充実度もさることながら、在学期間が短いという理由もあった。2年かかるプログラムより12ヶ月に凝縮されたプログラムのほうが魅力的に思えた。後から振り返れば、1年には1年の、2年には2年のメリットと限界があるので、一長一短だったと思う。今だからこそ、WHNP単独じゃなくて、せめてWHNP/ANPのプログラムにしておくんだったと思うが、入学前には知る由もなかった。

留学するにあたって、その後どうするかの明確な計画はなかった。誰に頼まれて留学したわけでなく、コネがあったわけでもなく、自分がただ行きたくて、とにかく女性の健康のプロになりたいのだという気持ちで、WHNPを目指していた。(WHNPを初めに知ってから実際に留学に至るまでの心境とプロセスについてはここでは省略する。)

無我夢中で1セメスターずつ過ごし、いよいよプログラムも最終学期。今後どうするかを考えないといけない時がきた。1年で自分が思っていた以上のことを見知ってしまったという思い、でもまだまだできないこと・やりたいことが山盛りあるという思いのなかで、さぁこれからどうしたものかと鬱々悩んだ。

2011年2月3日木曜日

刑務所における性感染症対策


昨12月、CDCから4年ぶりに性感染症治療に関するガイドラインが発表された。CDC とはCenters for Disease Control and Prevention (米国疾病予防管理センター)のことで、医療に関するたくさんのことを研究したり、指針を示したりしている国の機関だ。CDCの性感染症ガイドラインはさまざまな文献を専門家集団が吟味した上で産み出されている。治療現場にいる者に使いやすいように編集されていると思う。全100余ページ。ハウスメイトのナナコさんの道具を借りてしたら断然使いやすくなった。(いずれCDCウェブサイト上でハードコピーを注文できるようになるはず。)

さて、前版と比較すると、新しい薬が追加され、耐性の問題(薬が効かない)のため使用すべきでない治療方法は削除され、またいくつか新しいトピックが加わっている。なかでも、刑務所などの矯正施設にいる人々の傾向(性感染症の頻度が高い)と対策について触れたところをとても興味深く読んだ。

刑務所に入っている人は入っていない人よりも経済的社会的地位がより低く、都市部に住み、民族・人種的マイノリティーがより多く、性感染症にかかりやすい行動(コンドームなしのセックス、複数の性パートナー、ドラッグやお酒の使用、生活やドラッグのための売春行為、強要されるセックス)が珍しくなく、かつ刑務所入所前は医療へのアクセスがないことが多い。とりわけ予防的なケアを受けていないことが多い、と。

一昨年勤めていたオフィスでは、刑務所から職員2人に付き添われて足かせ&手錠をつけたまま来所する患者さんが時々いた。おりものの異常があると刑務所の職員に訴えて、診察にこぎつけるのは結構難儀だったかもしれない。症状があればこういう経過になるけれど、無症状の場合は、スクリーニング検査をしない限りみすみす見逃していることが多いだろう。

このような状況を鑑み、CDCは思春期および35歳以下の女性については刑務所や矯正施設への入所時にクラミジア・淋菌感染症の全例スクリーニングを行うように勧めている。

今のオフィスでは刑務所から囚人服のまま連れてこられる患者さんはいないが、会話のなかでふと、「私が前刑務所にいたときにね・・・。」とか「彼は今刑務所でさ。」という話が登場する。刑務所の中の人はいずれもとの世界に戻ってくるから、刑務所の中の人の性感染症対策は、みんなの健康のためでもある。

2011年2月2日水曜日

Lunch and Learn 第1回

お昼ごはんを食べながら、気軽な雰囲気でちょっとお勉強する会を開いた。参加者はオフィスマネジャー、メディカルアシスタント2人、メディカルアシスタントの学生ともと学生。

今回のテーマは避妊薬の継続のために来所する患者さんのケアで知っておいてほしいこと。避妊薬を初めて使うにあたってはNPが病歴を確認し、患者さんに適切な避妊薬を吟味し、使い方も含めて患者さんに詳しくカウンセリングを行うが、継続のためにくる患者さんのケアの大部分はメディカルアシスタントが担っている。(何か問題があるようならNPが診察する。)

今回は新しい学生もいたので、ほんとに基本的なことから。

*最終月経(Last menstrual period) を聞くときは、
「一番最近の月経はいつでしたか?」とは聞かずに、
「一番最近の月経の一番最初の日はいつでしたか?」と聞いてね。
でないと、患者さんはしばしば月経の最後の日を答えちゃうので。

*血圧は患者さんに5分間くらい椅子に座ってもらったあとで測ってね。 座ってすぐ血圧をはからないで、質問すべきほかの項目を聞いたあとで測るとちょうどよいですよ。(以前来ていたメディカルアシスタント学生が、立ったまま血圧を測っていて、たまげた。。)

*アレルギーの有無を聞く項目では、「アレルギーがありますか」と聞くと花粉症とかハウスダストといった返事が返ってきてしまうので、「今まで薬やラテックスなどでアレルギー反応がでたことがありますか」と聞いたほうがいいですよ

こんなかんじで。
途中みんな気軽に質問してくれたり、「こういう方法もあるよ。」と知恵を披露してくれたりもして、和やかにすすんだ。

でも本当は避妊薬継続のvisit も全部自分で担当したい。処方されたあと実際に正しく使えているか、使用感に満足しているか、どんなところに困難を感じているかーーーーそういうこともひっくるめてアセスメントし、よりよい方向性を見つけていくかかわりは、チェックリストの書き方を教わっただけのスタッフには無理であるし危険もありえる。(熟練したスタッフには少しずつdelegate(委譲)していけるけども。)だから彼らが書いてきたチェックリストの内容にはいつも目を光らすし、記入漏れがあれば担当したスタッフとすぐ確認をとる。