2010年8月14日土曜日

乳がんについて知らされていない患者さん

南アジアX国出身のAさん(60代)。息子さんと娘さんと孫1人と一緒に初診に見えた。

途中でAさんが「トイレに行きたくなっちゃいました。」とおっしゃるので、もちろんそうしていただいた。

すると娘さんと息子さんが大きな袋を抱えて診察室に入って来られた。「実は母は乳がんだったんです。落ち込むといけないので、本人には良性腫瘍だったと言ってきました。本人には乳がんだと絶対に言わないでください。これがX国で受けてきた治療のすべての経過です。」

腫瘍切除術ののち放射線療法を受け、さらにアロマターゼ阻害剤を飲んでいるAさん本人は本当に良性腫瘍だったと思っているのか?? 

そんなことを私は思ったが、そこは今私が突っ込むべきではないと思ったし、また大きな袋いっぱいのカルテや画像を紐解くのはやはり乳がん専門家がやるべき仕事だと思い、近くの病院を紹介した。

日本でもいわゆるがん告知はタブーとされていた時代があった。これはアジアに広く共通する考えかたなのだろうか。

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