2009年3月31日火曜日

搾乳機

昨日の記事に関して、搾乳機ってどんなん? というコメントがありました。牛の搾乳機と人の搾乳機はちょっと違います。手動式、電動式などいくつか種類があります。画像を見たほうが早いとおもうので、以下をご参照ください。

電動搾乳機の例。メデラ社。非常に高価なので、通常は必要な期間だけレンタルします。メデラの製品はとても優秀です。世界的に使われています。
http://medgrid.medela.ch/J/breastfeeding/products/electric.php

手動搾乳機の例として、ピジョン(日本のメーカー)の商品はこちら。手ごろな価格です。
http://pigeon.info/products/category/index-19.html

搾乳機は必ず必要というものではありません。そもそも赤ちゃんもお母さんも元気で、赤ちゃんが直接母乳を飲める状況のときは、そもそも搾る必要がありません。赤ちゃんがお母さんの母乳を直接飲めない事情があって、かつ手で搾るよりも搾乳機で搾るほう楽な場合に、搾乳機を使うという選択肢がでてきます。搾乳機がよく使われる場面としては、赤ちゃんが未熟児で直接お母さんのおっぱいを飲むことが難しいとき、赤ちゃんが新生児集中治療室に入院していてお母さんと離れている時間が長い場合、お母さんが仕事に出ていて直接母乳をあげられない時間帯があるとき、などがあります。また赤ちゃんがなかなかおっぱいに吸いつけないとき(口が滑ってしまったり、かんしゃくを起こしすぎて吸えなかったり)にも、短期間搾乳機を使うことがあります。ちなみに、搾乳機を使えばラクになみなみと母乳が搾れるのだと想像する方が結構いますが、そんなに簡単ではありません。特に、産後最初の2-3日は、なかなかおっぱいが出なくてむしろ普通の時期です。この期間に赤ちゃんに根気よく頻繁におっぱいを吸ってもらうことで、母乳の分泌がだんだん盛んになります。

2009年3月30日月曜日

また雪

昨夜えらい風が強いなーと思っていたら、今朝はうっすら雪が残っていた。昨日見た水仙が風邪を引いてしまうのではないかと心配だ。

今日は、先週の月~水曜日に行っていたオフィスに 再び出張。朝9時すぎから診察を始めて、最後の患者さんにお会いしたのがたぶん5時半すぎ。その後患者さんの電話相談の伝言(メディカルアシスタントが患者さんの質問をメモって、カルテと一緒に置いてくれていた)の対応2件、それからSOAP note の SとOが抜けているところを書き足して完成させ、薬局に電話を入れて、、、とやっていると6時半を過ぎてしまった。今日は昼休みもご飯を食べる時間以外は、書き仕事をしていた。先週は患者さんの人数が15人を越えたあたりから、自分のノートにメモするのを忘れて(というか、あきらめて)しまい、最終的に何人にお会いしたのかわからなくなっていた。今日は全部で20人。今のわたしの力量ではこのあたりでいっぱいいっぱいである。ここのオフィスのメディカルアシスタントの2人は、辛抱強くわたしのことを待っていてくれるので、非常に助かる。検査結果を見る時間はぜんぜんなかった。明日担当のNPにごっそり残してきてしまった。

今日は「羊水過多の可能性」と書きたいときに、羊水過多を英語でなんていうのか分からなくなって、でもそのとき辞書で調べている暇がなくて、possible excessive AFI と説明的に書いた。羊水過少がoligoamnios だというのは覚えていたのに、hydraminos (もしくは polyhydramnios)という言葉が出てこんかった。

患者さんからの要請で、搾乳機を貸し出しを保険会社に依頼する電話というのを始めてやった。その保険会社は、いくつかあるmedical assistance 系の保険会社なのだが、医学的な必要性がないと、搾乳機の貸し出しは行わないという。医学的な必要性って、例えば何ですか?と尋ねたら、例えば母児分離の状態(どちらかが入院してどちらかが退院している場合など)、赤ちゃんがおっぱいに吸い付けない、といった場合だそうである。自分が産後の授乳状況をじかに見て知っているわけではないので、患者さんが電話で伝えてくる情報を信じるほかない。電話で聞く患者さんの授乳状況からすると、たぶん産後まだ数日で一時的に張りがきついだけで、赤ちゃんもよくおっぱいを飲めているようだし、おそらく搾乳機は不要という印象を受けた。けど経産婦さんで、わたしは絶対に搾乳機を使います!!!という迫力満点だったので、私もあえて戦わなかった。患者さんに言われるままに搾乳機を注文したので、紛争は避けられたと思うが、それが患者さんのためによかったのかどうかは分からない。

2009年3月29日日曜日

水仙咲く


先週は帰りが遅い日が多く、疲れてYMCAはすっかりさぼりました。さすがに1週間運動をしないのはよろしくないので、雨の上がったところを狙って歩きに行きました。9日ぶりに訪れた公園では、ついに水仙が咲いてきていました。アトランタから遅れること2ヶ月(かそのくらい)、やっと花の写真が撮れました。本当にうれしいです。この写真を撮った後まもなく、再び重い雲に空に覆われました。このところ、曇り・雨・霧が交互に続いていて、青空がなかなか拝めません。3マイル(4.8km)歩いて雨の降る前に帰りました。NYの母(昔のホストマザー、ニューヨーク州北端部に住む)に水仙が咲いたと報告したら、こっちはあと3週間は先だね~、と言っていました。

高校ミュージカル


写真:ミュージカルのポスター。ロビーで売っていた。本格的。高校生とは思えん。

高校ミュージカルのシーズンです。今の時期は、毎週末どこかの高校でなんらかのミュージカルの公演があります。入場料は6-10ドルぐらい。どこの学校も、相当の気合を入れています。舞台装置、衣装、音響などを含めて、極めて本格的です。地元紙にも大きく取り上げられています。

昨日は、H家のMちゃんの通う高校のミュージカル、Carousel (回転木馬)を観に行きました。幕が上がると、高校にいるということをすっかり忘れます。すばらしい完成度なのです。If I Love You とか You Will Never Walk Alone といった名曲場面でぽろぽろ泣きました。If I Love You はこのミュージカルの歌とは知らなかったけど、ミシガン時代に習った曲なので、当時を思い出してまた涙。

Mちゃんは、ダンスも歌も抜群で、公演のあと小学生の女の子たちに盛んにサインを求められるほどのスター。今10年生なので、あと2回(2年)ミュージカルに出るチャンスがあります。12年生の年には、ヒロインをやること間違いなしだ、と私は勝手に予想してます。舞台上にいるメンバーもすごいのですが、オーケストラピットで演奏しているのも同じ高校の高校生。これだけのタレントが揃っていることに驚きます。保護者のサポートも素晴らしかったです。ロビーで飲み物やお菓子を売る人、写真やポスターの注文を受け付ける人、などなど。

お芝居なので、ストーリーの細かいところをとやかくいう必要なないんですけど、思いが言葉にならなくて、かっと怒ったり手を出したり(たたく、殴るetc)というのは、やっぱり暴力的ですね。芝居では「本当は愛しているのに、それが素直に言えない不器用な人」ということで許されてしまい、ヒロインは彼の本意をちゃんと理解していたからいいのだ、という感じになっています。こういう場面を見ることで、知らず知らずのうちに暴力を許容するセンスをすりこまれているとすれば、怖いことです。こんなことを思いながら観ていた客は私だけかもしれませんが。

2009年3月27日金曜日

ひとりNPのプレッシャー

きょうはいつものクリニックでの仕事でしたが、私が唯一のNPでした。診察室から廊下に出たとき、残りの二部屋にもう患者さんが待機しているのは、とてもプレッシャーでした。勤務時間の終わる30分ほど前に、「もう1人患者さんの診察が残っているようだけど、私はこれから会議(かなんか忘れた)に行かないと行けないし、ほかの人たちもそれぞれ用事があるから、4時きっかりに出ないといけないからよろしくね~。」とオフィスマネジャーに言われ、またプレッシャー。そんなんいわれても、診察って早送りできる類のものじゃありません。チャーティング(カルテへの記録)もそこそこに、つまりSOAP note のAとPだけの状態で、待ち構えていた会計担当の人にカルテを渡し、パソコンをログオフし、かばんとコートを右手と左手につかんで、オフィスを出ました。出張(月~水)を含めて、とても疲れる1週間でした。月曜日は再び今週前半行っていたクリニックにまた行くので、未完成のカルテを書くのは火曜日になります。

2009年3月26日木曜日

さらばTOEFL

13日の金曜日に受けたTOEFLの結果が出ました。スピーキングの領域で26点取らないといけないところ、今回は27点を獲得することができました。励まし続けてくださった皆さんのおかげ。もうこれで生涯最後のTOEFLになってほしいです。

過去3回のTOEFL iBT 受験の経過:
12月ーリーディング29、リスニング28、スピーキング23、ライティング24 総合点104
2月ーリーディング26、リスニング28、スピーキング24、ライティング21 総合点 99
3月ーリーディング29、リスニング27、スピーキング27、ライティング22 総合点105

思ったこと:
・ETSの問題集を買わなくても、インターネット上にたくさん無料で問題や解き方のコツを提供してくれている人がいるので、これを使わない手はない。有料のものがよいとも限らない。
・退屈ななかにも、たまには自分の専門分野に近い内容に近いものが出てきてくれるときがあるもよう。苦手なテーマばっかりにあたったときは、また次回の運にゆだねてみる。
・TOEFL受験をとおして、かなり経済に貢献できる。(望んでそうしたわけじゃないが) 受験料1回150ドル、交通費、モーテル、ETSの教材(あまり役に立たんかったが)etc.

2009年3月25日水曜日

びっくり産み月

最終月経は昨年の夏。最終月経を基準にすると、出産予定日までもう1ヶ月を切っている。
私:月経が来なくてへんだな~って思わなかったの?
患者さん:ストレスでこーへんだけやと思っててん。(隣のお母様、うなづく。)

子宮底33cm。この値は最終月経から求める妊娠週数相応である。でも明らかに患者さん親子は「妊娠初期」と信じているようす。そこからわたしが切り出した話には、2人にとって、まったくびっくり仰天だったとみえる。びっくりしている2人のエモーショナルサポートをしつつも、必要なケア&検査類に抜けがないように、診察を進めていかないといけない。10代のその患者さんにとって、生まれて始めての女性健診なのに、妊娠初期~後期の妊婦健診の内容のダイジェスト版が突然降りかかってくるのだから、驚き以外の何もんでもなかったろう。パップスメアってどんなんかなぁ、くらいのことを思っていたところに、いきなりお産の兆候の話を持ってこられては、なかなか飲み込めなくても無理はない。けど今日の話の中で、お産の兆候のことだけは覚えていてほしい。

今日は一般的な女性健診という名目でありながら、実は妊娠もしてます~という患者さんが数人続いた。

系列のクリニックへの出張も今日で3日目。ここの提携医は、結構なハイリスクの妊婦さんも診ている。妊婦健診での診察結果や、患者さんからの電話相談で、これは提携医に報告せないかんという状況のとき、オンコールの医師のベルを鳴らすのだけど、なかなかつかまらなくてすごく困った。既病歴&今回の妊娠経過からすると、高次の医療機関にケアをtransfer したいと思う場面もあったけど、ここの常勤NPじゃないから、そのライン引きがわからんし、もどかしい。できることは、提携医に状況と自分の意見を言うまで。

電話で相談を持ちかける患者さんに、病院への受診を勧めても、交通手段がなくて行けない、と言われ、これもまたとても もどかしかった。状況が状況だっただけにね。明日午後は受診できるということだったので、まるまる1日症状が落ち着いていることを祈る。

今日は冷たい雨で、夕暮れ時は特に視界がよろしくなくて、高速道路を降りたらどっと疲れた。まだ水曜日だなんて信じられん。いつもなら、YMCAでの運動が終わって家に帰っているくらいの時間に、まだ仕事場にいたわけだから、疲れて当然だけど。帰り道に地中海料理の店に立ち寄って夕飯をテイクアウトした。料理を待っている間に、店の主人らしきおっちゃんが紅茶をおごってくれた。けっこう甘かったけど喉痛には良く効いた。おっちゃんが自分の携帯電話の番号を強調してたのはちょっとあやしかった。どこに住んでるかしつこく聞かれたけど、適当に答えといた。狭い町やからなおさら。アパートに帰ったら、停電してた。食べるものがあってちょうどよかった。懐中電灯の明かりの元で食べるご飯はさみしかった。明日あさってはいつものクリニックでの仕事なので、ほっとする。来週の月曜日が今回の一連の出張の最終日になる予定。停電が直ったので、ブログが更新できた次第。

2009年3月24日火曜日

妊娠後期のクラミジア・淋菌感染症再検査

昨夜は9時間寝られたおかげで、朝にはだいぶよくなりました。ところが仕事に出ると、あやしくなります。しゃべりすぎで喉がやられるのか(?)、まだすっきりしません。(応援のコメントありがとうございます。)午前中はいつものクリニックで働き、午後からは昨日も行ったクリニックで仕事しました。

妊娠35-36週でB群溶血性連鎖球菌の培養検査をするのは日本もアメリカも一緒です。これに加えて、クラミジア・淋菌感染症の検査も加えてするのは、単にDr. Sの方針かと実はいままで思っていました。出張先のクリニックでも検査しているので、?と思い、調べたら、単にわたしの勉強不足だったことがわかりました。25歳以下の妊婦さん、ハイリスクとみなされる患者さんには、妊娠初期のみならず、妊娠後期(3rd trimester)にも再検査すべきとちゃんと書いてありました。出張のおかげで気がつくきっかけになりました。

2009年3月23日月曜日

ピンチヒッター

きょうは隣の郡にある、系列クリニックのNPのピンチヒッターとして仕事をしました。カルテの様式が微妙にいつものと違っていたり、物のありかがわかっていなかったりするので、手間取りました。婦人科は慣れた書式なのでよかったのですが、産科のほうは複数の産科施設と提携しているので、その施設ごとに違う用紙があり、それでまことに分かりにくいというわけ。ACOG(American College of Obstetricians and Gynecologysts) のフォームを共有してくれるとラクなのですがね。

普段はティーナが一緒にいるので、わたしが鈍い分、彼女が何気なくカバーしてくれるのですが、今日はわたしだけがNPなので、逃げ場なし。こういう日に限って患者さんのキャンセルがないのですね。明日も午後から半日、きょうのクリニック担当することになりました。がむばります。いつものクリニックは家から徒歩6,7分ですが、今回の出張(?)は50分くらい運転しないといけません。早く風邪を治したいです。葛根湯飲んでさっさと寝る予定。くしゃみ連発&鼻水でかなり格好わるい小芋でした。

2009年3月22日日曜日

風邪ひいてます

風邪をひいてしまいました。加えて月経と口唇ヘルペスも重なってしまいました。一つ一つの症状はたいしたことないのですが、重なると結構ミゼラブルです。明日は別のクリニックにピンチヒッターとして行くことになっているので、今晩のうちに治さないと。季節の変わり目――読者のみなさまは体調を崩されませんように~

2009年3月21日土曜日

洗車グッズ

ぼちぼちあったかくなってきたので、これからはアパートの駐車場で車を洗うことにしよう思い、今日はホース・洗車用洗剤・ワックスを買ってきた。徹底的に洗って、水滴を拭いて、丁寧にワックスをかけた。椅子を部屋から持っていって、屋根の上もぴかぴかにした。元のすがたに戻ってうれしい~。水を車にかけてもその場で凍らない季節になったのもうれしい~。

ペンシルバニアに引っ越してきて以後、今まではコイン式の洗車場に出かけて車を洗っていた。予荒い、せっけん洗い、高圧洗い、ワックスがけ、などいろんな機能があって、希望するものをボタンで選べる。けど1回1.25~1.5ドル で使える時間はあっという間(3-4分)なので、とりあえず泥と塩(凍結防止のために道に撒かれている)を水で洗い落とすことだけに専念してた。(ちなみに、5-7ドルくらいだせば、ドライブスルー式の楽ちんな洗車やさんもある。ワックスまで頼むと、10ドルくらいかかるみたい。)きょうの買い物で洗車グッズは揃ったので、これからは安上がり。

2009年3月20日金曜日

春分の日


きょうは春分の日。朝は雪が舞っていた。マイナス5℃。さむ。夕方、仕事のあと、友達に教えてもらった公園に行ってみた。車で8分くらい。公園内の林に、散歩道があった。1周すると、ちょうど1マイル(1.6km)。2周した。林の中に、水仙のつぼみを拝むことができた。ペンシルバニアに引っ越してきて、初めて外で見る花(まだつぼみだけどね)だー。林がみどり色になっていくのがこれから楽しみだ。

2009年3月19日木曜日

母体搬送ーー送る側

妊娠30週に満たない週数で 破水が疑われる患者さんにお会いした。ご本人は、あまり心配していないようだったけれど、助産師小芋としては冷静を装いながらも、頭の中ではいろいろなことが駆け巡る。クリニックで出来ることには限りがある。NST(赤ちゃんの心拍数と子宮収縮をモニタリングする検査)と超音波検査(羊水量、子宮頚管の長さなどをみるため)を提携医師Dr.S の病院にオーダー。患者さんは、あさってでもいいですか~という勢いだったが、いやいや、今すぐ行ってくださいね、とお願いした次第。

後日、某NICUを持つ病院から、患者さんが入院されていること、また治療が開始されている旨のサマリーがファックスで届いた。破水が確認され、Dr. Sの勤める病院から搬送されたもよう。今のところ症状は落ち着いているようなので、何よりである。赤ちゃんの元気度と、感染の兆候に目を光らせつつ、治療が続けられるはず。1日でも長く妊娠が続けられるように祈る。

日本では母体搬送(この言葉自体はあまり好きでない。ちょっとモノ扱いみたいじゃない?)を迎える立場の病院で働いていたので、患者さんを送り出す立場というのは、今回が初めて。わたしにとってpreterm PROM を含む切迫早産は、かつて出会った患者さんと過ごしたときの場面&感情とともに、強く記憶に刻まれている。真夜中でも明け方でも搬送の受け入れが決まったら、すぐに検査や治療ができるようにひと通りのものを準備して待機したこと、不安で眠れない患者さんとよくお話したこと、正期産(37週~)とは訳が違うお産の進み方、早産で生まれた赤ちゃんの かよわさ と たくましさ、etc.etc.

今回病院から届いたサマリーは簡単なものではあったけれど、とてもありがたかった。産後いずれ患者さんは地元に戻ってくる。そのとき、私はまた迎える立場になる。日米の違いはあるものの、産科救急でのケアの経験が、いまの自分にすごく役に立っている。

2009年3月18日水曜日

かみそりの話

今のクリニックで働くようになって、前よりも10代~20代の患者さんをより多く診るようになった。そのせいかもしれないが、陰毛を剃っている患者さんの割合が高い。日常的に陰毛を剃っている結果、皮膚に軽い炎症を起こしている患者さんもよくいる。ティーナ曰く、「ヒッピー全盛期のころは、誰も何の毛も剃らなかったのに、いまじゃぁ、髪の毛以外の毛は全部剃っちゃう子たちも結構いるわねー。」ということである。皮膚の炎症が発赤くらいだったら、ハイドロコルチゾンクリーム(ステロイドの軟膏)を塗っとくといいよ、で話が済むが、ingrown hair (皮膚の内側に向かって逆方向に毛が生えていっている状態)になっていると、もっと炎症を起こしたりするのでやっかいだ。

ぱっと見たところはingrown hair に見えるけど、よくみると伝染性軟属腫(molluscum contagiosum)-ウイルス性のいぼ- のこともある。名前はこわもてだが、真ん中がお臍みたいにへこんでいる、かわいらしい(?)いぼだ。これは時間はかかるけど、自然治癒するので、特に治療しない。陰部に限らず、体のどこでも起こりうる。ティーナの印象では、大学生の有病率がとくに高いと。大学の寮でシャワーを共有している学生同士が、故意にもしくは誤って他人のカミソリを使ってしまい、それが感染の原因のひとつになっているに違いないーーー石けんを貸し借りするのと同じような感覚で、カミソリを共有してしまっている学生がきっといるのよ、とティーナは分析している。

陰毛を剃ると、多少なりとも皮膚のバリア機能にダメージを与えるわけで、カミソリを媒体とした感染だけでなく、2次的な感染を招きやすい下地にもなっているかもしれない。(例:HPV感染)

今日は22℃まで気温が上がった。晴れてあったかくて、ものすごくうれしい。芝生が黄色から緑色になってきたところに春を感じる。でも木々はまだ芽吹かない。(あまりに冬が長くて、芽吹くことを忘れてしまったんじゃないか、と心配だ。)

2009年3月17日火曜日

性感染症における「迅速パートナー治療」

継続教育の一環として、性感染症関するwebinar (オンラインで行われるセミナー)をクリニックで見た。私にとって、一番印象に残ったのは、Expedited Partner Therapy (迅速パートナー治療)の話。初めて聞く言葉。

ある方がクラミジア感染症、または淋菌感染症と診断された場合、その方のパートナーの治療も必要となる。通常は、患者さんがパートナーに治療の必要性を伝えて、報告を受けたパートナーが後日医療機関にかかり、診察+検査+薬の処方を受ける。検査結果が出るまでには数日から1週間かかるのと、感染してから日が浅いとどっちみち検査上は偽陰性になることもあるので、結果が出るまで待たずに、あえて感染しているとみなして診察当日から治療を始める。

これに対し、迅速パートナー治療では、クラミジア感染症、または淋菌感染症と診断された患者さんに、ご本人の薬に加えて、パートナーが使う分の薬も処方してしまう。そして患者さんからパートナーに薬を渡してもらうというわけ。パートナーは、医療機関にかかるための予約をしたり診察のための時間を設けたりすることなしに、即治療が始められるわけだ。

迅速パートナー治療を取り入れると、パートナー同士ほぼ同時に治療ができるため、クラミジアおよび淋菌の再感染率は、通常の治療の場合よりも減るということである。こういう薬の処方の仕方は、州によって可能な州とそうでない州があり、幸いペンシルバニア州ではOKなのだが、クリニックのプロトコルでは触れられていないので、残念ながらわたしのクリニックでは実施できない。

何度もクラミジア感染症を繰り返している患者さんにときどき出会う。パートナーが治療を済ませたと口ではいうものの実際にはそうでなかったり、パートナーにまた別のパートナーがいたりして、治療をしてもまた新たに感染してしまうのだ。迅速パートナー治療を取り入れても、再感染をゼロにできるわけじゃないが、より合理的でbetter な方法として採用する価値はあると思う。とくに性感染症の有病率の高い医療機関なら、なおさらだ。

CDCのウェブサイトに、もっと詳しい説明あり。この治療法がOKな州とそうでない州の地図も載っている。
http://www.cdc.gov/std/EPT/

2009年3月16日月曜日

「太ってなんか見えないでしょ?」

Body Mass Index、 すなわち 体重(kg)÷{身長(m)の2乗}を使って体重の評価をする場合、アメリカでは
<18.5   は「underweight」 =やせ
18.5~24.9 は「normal weight」=標準
25.0~29.9 は「overweight」  =過体重(?)
30.0以上  は「obese」    =肥満
ということになっている。日本では日本肥満学会の解釈によって、BMI=25以上で肥満と見る。

国民の3分の2が overweight もしくは肥満のアメリカにおいて、自分が太っているという自覚を持つのは、しばしば難しい。いくら太ってますねと言われても、周囲には標準体重の人より太った人が多いのだもの、「わたしが太ってるだって? んなわけないでしょ。」とおっしゃる患者さんがいるのも、無理はない話だ。日本だと、太ってしまうと、着られる市販の服が目に見えて減っていくので、「こりゃ、やばい!」と思わざるを得ないが、アメリカにはいくらでも大きなサイズの服があるので、洋服を買うのにも困らない(だろう)。「XL(エクストラ・ラージ)」の上にも2XL、3XL、4XL、、、がある。

仕事の合間に読んでいたNP向け雑誌の記事に、医療者が体重コントロールに関して十分取り組まない背景には、時間がたりない、保険会社からのペイが足りない、カウンセリングするのに十分な技術がない、患者さんがやせられるだろうという確信がたりない、リソースがたりない、、などの要素が挙げられていた。急性期の問題にはしっかりフォーカスして対応するが、太りすぎという、慢性的な問題は後回しにしがち、というコメントには、確かにー、と思った。

肥満は今すぐ問題にならなくても、徐々に高血圧、糖尿病、高脂血症、心臓病、がん、睡眠時無呼吸、変形性関節症などなどのベースとなっていく。クリニックに来られる患者さんの中には、プライマリケアを担当する主治医を他にもたない患者さんも多いので、例えば今日私が担当する健診が1年で唯一の医療機関への受診ということだってある。そう思うと、どうしても体重のことに触れないではいられない。限られた診療時間の中でもたもたしちゃいけないし、でも「はい、問題ありません。」と終わりにするのはウソつきになるし、時間との戦いだ。肥満ですよと言ったところで、今日何かが変わるわけじゃぁないが、自分の体重を知らない患者さん(結構多い)に去年は何ポンドで、今日は何ポンドでしたよ、これはBMIでいうとoverweight・肥満ですよ、と伝えることは、ささやかながら続けていきたい。今まで健康で来れたし、これからも健康でハッピーに生きられるように、ちょっと体重に気をはらってみましょうよー、というポジティブなメッセージとして伝わるといいんだけど。

2009年3月15日日曜日

ハイキング




今日はとてもあたたかくなりました。20℃くらい行ったかと思いましたが、実際は16℃どまりでした。朝とまとまんに、「今日こそは税金の手続きをやる!」と宣言してたのですが(2007年の分の〆切は4月15日。収入のない留学生でも毎年提出。)、教会から帰ってきて昼ごはんを食べた後、あまりの晴天に誘惑されて、先日Mさんに教えてもらった州立公園に行きました。家から20分くらいのところです。この前行ったところとはまた別で、今回行った公園は湖ではなく川がポイントです。

登山道がいくつかあるのですが、全部歩いていたら1日あっても足りないので、今日のところは4kmくらい、時間にして1時間半ほどあるきました。空気がすごく気持ちよかったです。岩道だったので、日本の家に置いてある登山靴が恋しくなりました。

家に帰ってきて、税金の書類をやりました。

2009年3月14日土曜日

コーラスのコンサート

地元コーラスのコンサートに行ってきました。実は1月から楽しみにしてきました。(大都市や大学キャンパス付近に住んでいるのと違って、市内でコンサートというのは、ここらへんではそんなにありません。)カトリックの大きな教会が会場だったんですけど、指揮者も歌っている人たちも、建物の後ろのほうの、2階部分にいて、聴衆は彼らに背を向けて聞く、というちょっと不思議な設定でした。

コンサートなのに、これじゃぁCD聞いているのと変わらんやん、とおもって、わたしはかなり不満足。わざと端のほうに座って、ときどき後ろを向いてみたりしましたが、腰がしんどくなるので、また前を向きました。演奏のほうはというと、力任せに強い声を出してしまっていたり、音程がフラットになりがちだったりで、やっぱりふつうのコーラスか、とがっかり。

そんなこんなでプログラムが終わってしまったのですが、最後、みんなが1階に下りてきて、正面に並んで、"The Lord Bless You and Keep You" を歌ってくれました。このとき初めて指揮者の動きや団員の表情を間近に見ることができ、それまでのプログラムをすっかり忘れて感動しました。音程もぜんぜん気にならず。たぶん、至近距離で聞く(&見る)音楽の力。最初から前で歌ってくれていたら、もっと楽しめていたとおもいます。結論としては、聞きにいけてよかったです。

このコーラスは、毎週月曜日の晩、オハイオ州の某市で練習しているとのことです。ここからだと、車でたぶん40-45分くらい。仕事にもうちょっと慣れたら、思い切って参加してみるのもいいかも。

2009年3月13日金曜日

またもTOEFL戦

先月受けたTOEFL(という名前の英語のテスト)では、スピーキングのセクションで必要な26点に2点およばなかったので、今日また受けてきました。今回は前回苦労した考古学の問題はなくて、自然科学や生命科学の問題に恵まれたので、わたしとしてはとても助かりました。全体的に、過去2回よりはリラックスして受けられたので、今回こそ目標点が取れていることを期待。。。

今回は、ピッツバーグ会場だったので、昨夜はそこから25分くらいのところに住んでいるHさん一家に泊めてもらいました。昨日の夕方のうちに、会場まで車で走って、建物を確認しておきました。夕飯時には、これまでまだ会ったことのなかった、おじいちゃんや、おじさんおばさんとも会う機会に恵まれ、くつろいで中華料理(テイクアウト)を食べました。

今日のテストの後は、仕事にもどらなくてもいいよ、とボスには言われていたのですが、落ち着かないので、やっぱりオフィスに行きました。検査結果の確認をしたり、再検査などが必要な患者さんに電話をかけたりして、いつものペースに戻ったら、とてもほっとしました。もうTOEFL はいやです。

2009年3月11日水曜日

障がいのある患者さん

私が勤めるクリニックには、知的・身体的・精神的障がいのある患者さんもぽつぽつ来られる。子宮頸がんの検査や骨盤診(内診)は、なるべく体をリラックスさせた状態で行うのが望ましいのだけど、状況をうまく飲み込めない患者さんはとても怖がってしまって、診察に適した姿勢をとることすら難しい場合も珍しくない。プライベートなエリアを人に見られたり触られたりするのは、だれにとっても心地よいものではない。まして必要性を理解することが難しい患者さんにとってはなおさらのことだろう。膣鏡(スペキュラム)を使わずに、綿棒だけをつかって検査する方法をティーナに習い、それを実践している。綿棒が子宮口にちょうど触れるかどうかは運である。膣鏡を使ってする検査には劣るが、与えられた条件化では、最善の方法だとおもう。

車椅子には座れるが、立つことができないという理由で、マンモグラム(乳房のX線検査)は受けられないんです、と話す40歳代後半の患者さんに出会った。(本来なら40歳から毎年実施のはず。)そんなことでマンモグラムをお断りするなんてあり???と思った私は、某病院の放射線科に電話して、なんとか立たずとも車椅子に乗ったままでマンモグラムを実施できる方法はないのか、と聞いた。そうしたら、車椅子の肘掛の部分が取り外せる場合はOKだと言う。患者さんの家には、もう1台車椅子があって、そっちだったら肘掛が取り外せるということがわかった。というわけで、今回初めてマンモグラムを受けられるめどがついた。案外あっさりと。

以前は医師のもとで女性健診を受けていたけど、その医師が医療扶助による健康保険の取り扱いを中止したので、それ以来数年間女性健診を受けられなかったんです、という患者さんにも出会った。わたしの勤めているクリニックは、通常の健康保険から、医療扶助による保険、州政府のプログラムなど、いろいろ扱っているので、ようやく受診がかなったというわけ。

障がいそのものを改善するのは難しいとしても、医療環境や制度のせいで、患者さんがますます不利な状況におかれてしまうことのないように、可能な工夫や配慮は惜しまないようにしたいとおもう。

2009年3月10日火曜日

失業 v.s. 奴隷勤務

不況によって、このあたりの工場でも、さらなる解雇が決定されたりして、失業に関するニュースには事欠かない。一方、とまとまん こと、日本にいる夫は、昨日1日で2日分くらい働いていた。夜12時近くに帰宅して、それからやっと晩ごはんが食べられたとのこと。いつもは私の朝ごはんの時間 = とまとまんの晩ご飯の時間 なので、食べながらスカイプで話すけど、今朝はそういうわけにいかなかった。(ちなみに、私の晩ご飯の時間 = とまとまんの朝ごはんの時間 なので、このときも時間が合う限り一瞬スカイプする。昼夜が真逆なのは便利なこともある。)夕方、つまり彼にとっての翌朝にスカイプから電話を鳴らした。3分「トゥルルルル」音を鳴らしても反応なし。すこし時間を置いてあと2回かけなおして、やっと電話を取ってくれた。最初の2回の音は全然聞こえなかったらしい。あまりに疲れた表情なので、起こしてしまって気の毒に思った。遅刻しても、もうちょっと寝ていたほうがよかったかもしれない。思えば、年度末のこの時期は、毎年、普段にもまして帰宅時間が遅くなることが多いようにおもう。

仕事がないというのは困るけど、長時間(時に休みもなく)奴隷のように働く環境も、とても困る。からだもこころも疲弊しちゃう。アメリカにも長時間労働をするひとやワーカホリックの人はいるけど、おしなべていうと、日本のほうが圧倒的に仕事に人生捧げている(or 捧げざるを得ない)状況が多いのではないかな。個人差はもちろんあるけどね。簡単に解雇されちゃうのも大変だけど、終身雇用&福利厚生をエサにして、残業はあたりまえ、文句言わずに働くんや!的環境はこわい。フルタイムの会社員&専業主婦というスタイルの家庭だと、長時間労働でもまだやっていけるのかもしれない。でもわたしと とまとまん のスタイルではないんだなー。お互いが、家の内外両方でそこそこ働くのが、一番バランスがいいと思っている。(ま、わたしたちの場合、そもそもいつ同居できるかが問題なんだけど。スカイプ夫婦はあくまで私たちの一時的なスタイルであって、一緒に住むのが私たちの目指すところ。)

会社には とまとまんをもっと大事にしてもらいたい。これは無理な願い? 会社の改善を願っているより、早いところ「いーち抜ーけた!」とこちらから願い下げにするほうが得策かも、と思うこともある。とまとまんの仕事だから、私が決めることじゃないけど。とまとまんは自分の技術を会社で生かし、充実感を得ているいい面もあるしね。でも帰宅時間が「8時=早いほう」、「9時=まあまあ」、「10時=ちょっと遅い」という感覚は悲しいとおもってしまう。 このくらいの帰宅時間だったら、日本では別に「ふつう」あるいは、「そんなのは帰宅が遅いのに入らない」かもしれないけどね。 

以上、まとまらず。

2009年3月9日月曜日

夏時間はじまる

きのう日曜日の午前2時から、Daylight saving time、いわゆる夏時間がはじまった。(春も来てないのに、夏時間と呼ぶのはよろしくない気がする。)11月1日までのあいだ、日本との時差は13時間になる。(冬は14時間) 今日月曜日は11時から7時までの仕事の日だけど、帰るときまだ明るくて、それだけで嬉しかった。「明るくはなってきとうけど、夜道はやっぱり心配やけん、月曜の晩はいままでどおり私の車に乗りやー。」というティーナの言葉に従って、今日もティーナに送ってもらった。

退屈なTOEFLのべんきょうを週末にやったあとで、仕事にもどるとほっとする。同僚との会話、患者さんとの話にはあんまり困らんのに、TOEFLのスピーキング課題にはあいかわらず四苦八苦している。インターネットからタイマーの無料ソフトをダウンロードした。それで時間を計りながら練習中。

ここ何日か雨がよく降った。窓辺の天井から雨漏りするので、それを大家さんに伝えたら、「あそこは何回直しても直らんのや。窓辺に鉢植えの植物でも置くとちょうどええで。」とのことであった。がはははっと笑う、陽気な大家さんだ。

2009年3月7日土曜日

ひな祭りのイベント


写真: Tくん(2歳)が両親と一緒に作ったお雛さま。

日本や中国の美術品を集めた私立の美術館で、ひな祭りのイベントがあるということで、近くのMさん一家と一緒に行ってきました。(Eさん、ドライブありがとう。)高校の日本語教師、アメリカ人のDさんが企画された催しで、今日の対象者は主に4歳から10歳くらいの女の子。まずDさんが、ひな祭りの行事について説明。次にお抹茶をたててそれをみんなで頂く真似事。それからひな祭りの歌をみんなで歌いました。最後にお雛さまを作って、それをお土産に。見て、聞いて、手を動かして、と五感をフルに活用し、子どもたちを飽きさせません。会場に飾ってあったお雛さまは、古いながらもとても品のある素敵な5段飾りでした。去年私が高校時代の先生にもらった猫のお雛さまも、会場に飾ってもらいました。

イベントには、周辺の大学で日本語を教えている先生たちなど、日本人やその家族も集まりました。一緒に中華料理を食べに行って、さらに話が弾みました。ピッツバーグほど多くはないけれど、意外とこのあたりにも日本人がいるんだなぁ、と最近ますます感じています。

美術館のホームページ http://www.maridon.org/
私の猫雛(去年のブログの写真)
http://blogs.yahoo.co.jp/koimokko/16055316.html

2009年3月6日金曜日

インプラノンのメカニズム他

午後はクリニックのスタッフ全員参加のミーティングだった。前半は、ティーナがインプラノンという皮下埋め込み型の比較的新しい避妊法の説明をしてくれた。上腕の内側に、楊枝サイズのちっちゃい棒を注射に似た要領で挿入する。体はこの棒から毎日すこしずつほぼ一定量の黄体ホルモンを吸収する。インプラノンが働くメカニズムは3つある。1)一定量の黄体ホルモンが体内にあることで、体は「妊娠している」と勘違いするから、排卵が起こらない。2)仮に排卵がおこったところで、子宮頚管(子宮の入り口付近)の粘液は精子くんが子宮に入りにくい性質に変化しているので、精子くんは子宮の中になかなか入って行けない。ゆえに受精も起こりにくい。3)さらには、たとえ勇敢な精子くんが卵子ちゃんと出会い受精したところで、子宮内膜(受精卵のためのベッド)はふつうよりも大分うすくもろくなっているので、うまいこと着床できない。こういう3つの働きで避妊が可能となる。薬の種類としては、ホルモン付加IUD(Mirena、日本でもミレーナ)や注射薬であるデポ・プロベラといっしょ。

ティーナはこういったメカニズムに加えて、患者さんからよくある質問の例を挙げて解説してくれた。

ピルやデポプロベラは、患者さん自らが希望されてくることが多いけど、インプラノンはまだまだ一般的には知られていない。利用する患者さんが少ないので、スタッフもまだ経験が少ない。そんなわけでみんなで改めて勉強した次第。受付や電話の対応をしているメディカルアシスタントも含めて、基本的知識を持っていることが大事だから。インプラノンの取り扱いができるのは、トレーニングを受けた医療提供者(医師、ナースプラクティショナー、フィジシャンアシスタント)に限られている。学生では講習会への参加もだめ。IUDのトレーニングは学生のときにさせてもらえたが、インプラノンのルールは厳格。私は来月、トレーニングに行ってくる。

インプラノンのウェブサイト:
http://www.implanon-usa.com

きょうは19℃まで気温が上がった。これにつられて、早く木々の芽が出てくれるとうれしい。

2009年3月5日木曜日

TOEFL 再挑戦へ

よろしくない結果を予想しながらも、かすかな期待を持って待っていたTOEFLのスコア。スピーキングのセクションで26点獲得せないかんところ、24点でした。前回と1点しか違わず。前回より悪いと思ってましたけど、意外にも横ばいでした。来週また受けるべく、即申し込みました。

今日はこれに関連する件で、CGFNSとまた戦いました。しかし負けました。あいかわらず、CGFNSの言うことにゃ、理解に苦しむことばかりです。お客に対するサービスをするという精神はみじんも感じられません。

叫びたい気分になりますが、運よく今日は大好きな "Resist a Ball"(エクササイズボールを使って運動する)のクラスの日だったので、大分発散できました。YMCAがあってよかったです。けっこう最近筋肉質になってきてます。

2009年3月4日水曜日

ひな祭りディナー


近くに住む日本人の友達が、ひな祭りディナーに招いてくれました。日本人おとな4人と子どもたち3人が集まりました。玄関を開けたとたん、お魚のいいにおい! ひさびさにおいしいサンマをいただいて感激。ほっとくつろいで、おしゃべりして、とっても幸せな夜でした。傑作料理の数々をご覧ください。全部とってもおいしかったです。料理を作ってくれたお二人に感謝!!

理想体重? やせすぎ?

overweightや肥満の患者さんが少なくないなかで、BMIが21とか22の患者さんにぽつぽつ会うと、私としてはとてもほっとする。で、ふと今の体重はとってもいいですよー、と言ったりする。で、患者さんの顔がほころぶかというと、そうとは限らない。

不満げに、「母にあんたはやせすぎって言われてるんです。私としてももっと太りたいのに。」という答えが返ってくることも。アフリカン・アメリカンの患者さんにその傾向が見られるような。

食欲、食事量、運動量の様子を伺ったり、健康的な体重の幅の話をしたあとで、Nuvaring(膣にキープするタイプの避妊方法。エストロゲン剤。)に代えて、Depo Provera(3ヶ月に1度注射するタイプの避妊方法。プロゲスティン剤。)を使ってみるという案に話が落ち着いた。Depo Proveraは、副作用のひとつとして、平均4kgくらいの体重増加がある。それをむしろ「副効用」と捉えて使ってみるというわけ。さてさて、うまくいくだろうか。避妊法それぞれメリット・デメリットあるから、お気に入りを見つけるまではいつも試行錯誤。選べる選択肢が多いというのは、とても大事。日本はまだまだ選択肢が少ないのよね。

2009年3月3日火曜日

セイファー・セックス

性感染症や子宮頸がんのリスクアセスメントの一環として、初めてセックスしたときの年齢や過去のパートナーの人数を患者さんに尋ねる場面がよくある。州の性感染症スクリーニングプログラムの用紙にいたっては、過去1ヶ月、3ヶ月、1年のパートナーの数を明記しないといけない。セックスのときに、コンドームを使うか(いつも使う・ときどき使う・たまに使う・全然使わない)も聞く。

「Baby mama とセックスするときはコンドームを使わないけど、他の人とセックスするときは必ず使ってるよ~。」というような、ちょっとフクザツな例もある。一対一の関係だと信じてセックスをしていたBaby mama は、まさに彼からクラミジアをもらっちゃったのである。気の毒。
(baby mama についてはこちらをご参照。http://koimokko.blogspot.com/2009/02/blog-post_05.html)

たとえ自分自身は一対一の性関係だと思っていても、パートナーがそうでなかったら、性感染症のリスクという意味では、事実上たくさんの人とセックスしているのと変わらないかも。(パートナーのパートナーの、そのまたパートナーの,,,,etc.) 彼(彼女)がお金持ちだろうがなかろうが、愛があろうがなかろうが、病原体はあるていど平等に(?)うつる。元夫とのひさびさのセックスで膣トリコモナス感染症にかかり、「んなわけないです!」と憤慨された患者さんもあったが。

セックスをするひとはみんな、性感染症にかかる可能性がある。膣+ペニスのセックスにかぎらず、オーラルセックス、そのほか皮膚や粘膜が接触する機会があれば、感染のチャンスがある。というわけで、残念ながらコンドームを使っても100%安全ということはない。

「絶対安全」は No sex (一切の接触なし)を貫くか、お互いが生涯初めてのセックスの相手である場合か、両者がそれぞれ検査可能な種類の性感染症を検査していずれも陰性だった場合(かつそれ以後浮気一切なし)じゃないとありえないので、多くのひとは、「より安全」な路線、すなわち セイファー・セックス を目指すことになる。

パートナーの数を限ること、コンドームなどのバリアを毎回適切に使うこと、お酒やドラッグなどによって判断が鈍る状態を避けること、皮膚・粘膜に傷や病変があるときはセックスをさけること、肝炎やHPV(ヒトパピローマウイルス)のワクチンを受けておくこと、リスキーな行為をしたりパートナーが変わったりしたときは性感染症のスクリーニング検査を受けること、などなど、方法はいろいろある。

患者さんがより安心して楽しいセックスライフを送れるように、セイファー・セックスの話はポジティブな雰囲気とともに持ち出したい、というのがわたしの願い。患者さんにとって実現可能なステップを話し合えないのなら、無意味な「説教」に終わるまで。方法を述べるのは易し、実際にその行動を取るのは難し。性感染症も、生活習慣病だ。

2009年3月2日月曜日

パートナーによる暴力

暴力を経験する女性はとても多いので、すべての患者さんに私は尋ねるようにしているんですが、 
Since violence is so common, I ask all women if she has experienced violence.
と口火を切って、

お家にいるとき、またパートナーと一緒にいるとき、あなたは身体的にも精神的にも安全ですか?  
Are you physically and emotionally safe at home and with your partner? 
と質問する。

は? 何を聞いてるん? という感じの反応のときはおおよそ問題ないだろう。

より具体的には、
これまでの交際関係で、殴られたり、蹴られたり、首を絞められたり、そのほかの方法で苦痛を与えられるような経験はありますか。 
Have you ever been in a relationship where you have been punched, kicked, choked or hurt in any way?
とダイレクトに聞く。

だれかに不適切に触られたり、セックスを強要されたことはありますか? 
Has anybody ever touched you inappropriately or forced you to have sex?

という質問に対し首を横に振りはじめた患者さんに、as child? 子どもの時は? と加えて尋ねると、実は・・と話が出てくることもよくある。

親しいパートナーからの暴力、intimate partner violence について尋ねたか、その結果はどうだったかをカルテに記録することは、大事なルティーン項目のひとつとされている。(だから聞くってわけじゃないけれど。)簡単なスクリーニングの質問で、あまりに"yes" という答えが多いのは、非常に悲しい。

患者さんが未成年で、かつ加害者が親などの保護者の場合、医療者には通報の義務があるが、すでに成人だったり、未成年でも保護者以外が加害者だった場合には、患者さんが希望した場合のみ、関連機関につなぐことになっている。たとえずっと以前の経験だったとしても、専門家のカウンセリングを通してケアを受けることが望ましい、とティーナはいうけれども、実際は、「別に今さらいいです。」と話す患者さんも少なくない。ごく最近の出来事であっても、「私は警察も信用してないし、行動を起こすことが余計に事態をややこしくするから、何もしなくない。」と言う患者さんもおられる。

患者さんに自ら質問をしたからには、その回答を受け止めるのもまた自分。非常にセンシティブで重い問題。暴力の経験「あり・なし」の単純なチェックでは済まされない。他のリソースにつなぐかどうかは別として、その場でひと通りの話の区切りをつけなくてはいけない。「打ち明けてくれてありがとう。あなたはひとりではないですよ。」から入って、選択肢の提案etc.

決して興味本位で尋ねているのではなく、暴力は人間の健康に多大な影響を与えるので敢えてお聞きするのですーーという真意が患者さんに伝わるように、そして質問したことがよりプラスの方向に向かうきっかけになるようにもっていきたいーーーそう思っているけど、どこまで出来ているか。

「パートナーが浮気して、彼(彼女)から性感染症をうつされるのも、立派な暴力よ。」とティーナ。本日の名言。

2009年3月1日日曜日

ピッツバーグに Kさん一家を訪ねる


写真: お米50ポンド(約23kg)。これでしばらく安泰。

アトランタの友達Nさんが紹介してくれた Kさん一家をピッツバーグに訪ねました。ピッツバーグは斜めに走る道が多くて、途中迷いましたが、無事たどりつきました。ロータスフード(百合食品)という中国系の食料品店に連れて行ってもらいました。お米のほか、レンコン、大根など普段買えない野菜をいくつか買いました。Y子さんにもらった、もやしを育てるための豆(緑豆)が残り少なくなっていたのですが、これも今日見つけることができました。(そのへんのスーパーだと売ってないんですよ。)

Kさん一家は東京商店にも程近いということで、帰りに東京商店でお弁当を買って、Kさん家でみんなで食べました。カニコロッケ弁当がこんなにおいしいとおもったことはありません。写真を撮るつもりが、思い出したときには梅干の種しか残っていませんでした。ざんねん。

1歳になって間もない、Kさんの息子さんは、もうしっかり歩いていて、たくましかったです。1歳ってすごいですね。たくさん、あ~あ~とおしゃべりしてくれました。

Kさんのホスピタリティーのおかげで、とても充実した日曜日になりました。